東電次期会長 受け手なし 課題山積で調整難航、政権もネックに (1/2ページ)

2012.2.20 05:00

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 福島第1原子力発電所事故の責任を取り、退任が固まっている勝俣恒久・東京電力会長の後任人事が難航している。1兆円規模の公的資金を注入し、東電を実質国有化する方針の政府は、社外の有力経済人を選んで経営全般の統括を任せる方向で調整に着手している。ただ、事故処理や賠償義務を背負う企業のトップとして低姿勢を強いられ、それに見合う報酬も期待できないポストだけに、引き受け手が見当たらないのが実情だ。

 会長候補には何人もの名前が浮かんでは消えている。東電に公的資金を出資する原子力損害賠償支援機構の運営委員を務め、最右翼と目されていた葛西敬之JR東海会長(71)は固辞し、経団連名誉会長で岡田克也副総理らと親しい奥田碩トヨタ自動車相談役(79)も打診を断ったとされる。

 財界トップは「各方面に目配りが利き、決断力かつ包容力がある方」(日本商工会議所の岡村正会頭)、「リーダーシップと決断力、行動力、政権との信頼関係」(経済同友会の長谷川閑史代表幹事)を会長候補の条件に挙げるものの、ふさわしい人物となると「難しい」「簡単ではない」と言葉を濁す。

 民主党政権下では電力業界を所管する経済産業省OBの起用は論外で、東電に多額の出融資をしている銀行出身者も利害関係が絡み、対象外だ。