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中川充四郎 パ・リーグびいきデス

盗塁のプロは投手の癖見抜いても「演技」

 今年のプロ野球は統一球の話題が尽きない。確かに、投げて打つゲームなのでボールの影響力は大きい。ところが、直接ボールとの関わりのない盗塁の数字でセ、パの数字に格差が生じている。パではトップのソフトバンク・本多が50を超え、2位の楽天・聖沢がこれに近い数字で追いかけている。一方、セではパのトップの半数以下で巨人・藤村が最高。しかも規定打席に達していないので健闘しているとはいえるが。

 リーグ全体の盗塁数を比べると、パの579に対してセは300と約半数だ。ちなみに、昨季のリーグ総数はパが561個で、セは464個と今年ほど極端な差はない。明確な理由は分からないが、投手のクイック投球の技術や捕手の肩の力が、パの方が劣っているとは思えない。たしかに、セには阪神・久保のような「クイックの神」が存在するが、全体のレベルは、それほど違いはないと思う。

 9月26日にQVCマリンで行われたロッテ―西武戦。4―4で迎えた7回表の西武の攻撃、1死から死球で出塁した中島が二盗を決めた直後、中村の中前打で勝ち越した。この盗塁は大きかった。二盗や三盗を決めると守る側に重圧がかかるし、とくに僅差の終盤になると効果は確実に増す。統一球になり、さらに走塁面を重視する必要があるだろう。

 野手は盗塁の際に良いスタートを切るために投手の癖を研究する。例えば、背番号の2つの数字の間に縦ジワができたらけん制なし、シワが出なければけん制あり、など。要するに、胸を張ったら打者に投げ、猫背気味になったらけん制球を投げるということ。ほかにもいろいろあるようだが、日本ハム・清水外野守備走塁コーチの現役時代の話が印象に残っている。

 「癖が分かっても、チームメートには教えないようにしていました。教えると、フライング気味で走ってしまうので、相手(の投手)も(癖がばれたのを)気づいてしまうでしょ」と。つまり、癖が分かっていても、分かっていないような「演技」が必要なので、ということ。これぞ、プロ。

 ◆中川 充四郎(なかがわ・じゅうしろう)1951年(昭26)、東京生まれの60歳。駒大卒業後に商社勤務を経て都内のマクドナルド4店舗で店長を務める。オーディションに合格し、82年から08年まで文化放送ライオンズナイターでコメンテーター。

[ 2011年10月2日 ]

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