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米、北朝鮮への金融制裁解除を事実上容認

 【ワシントン=五十嵐文】米財務省は14日午後(日本時間15日未明)、米国の金融制裁で北朝鮮関連口座が凍結されているマカオの銀行「バンコ・デルタ・アジア(BDA)」に関する最終的な調査結果を発表した。

 これによると、BDAに対し、資金洗浄などの違法行為を容認していたとして、米金融機関との取引禁止を正式決定する一方、総額2500万ドル(約29億円)に上る北朝鮮関連口座の扱いについては、マカオ当局の判断に委ねる方針を示した。

 事実上、北朝鮮への制裁解除を認める措置で、今後はマカオ当局による解除の規模や時期が焦点となる。

 BDAをめぐっては、北朝鮮の核問題をめぐる6か国協議の2月13日の合意を踏まえ、米国が「30日以内の解決」を約束していた。19日から北京で再開される6か国協議を前に、北朝鮮が強く求めていた金融制裁問題で一定の前進を示し、北朝鮮に核放棄に向けた初期段階の措置の履行を促す狙いがあるとみられる。

 米メディアなどによると、米国が違法取引とは無関係の合法資金と認定したのは800―1200万ドルとされ、部分的な凍結解除にとどまるとの見方が強い。北朝鮮は、全面解除を求めており、さらなる譲歩を求めて強い対応に出る可能性もある。

 記者会見したリービー財務次官(テロ・金融犯罪担当)は、「調査した情報はマカオ当局に伝える。次のステップはマカオが判断する」と述べ、解除額はマカオ当局が判断すると強調した。

 また、BDAの口座を保有する北朝鮮の団体・個人が、数億ドルの資金洗浄のほか、<1>偽造米ドル紙幣や偽造たばこ、麻薬の違法取引<2>大量破壊兵器の拡散につながる活動――といった他の違法行為に関与していたことも判明した、と指摘した。

 財務省は2005年9月、BDAを北朝鮮の違法行為に絡む「資金洗浄の主要な懸念先」の金融機関に指定。BDAと米金融機関との取引を暫定的に停止した。マカオ当局はこれを受けて、同銀行を管理下に置き、北朝鮮関連の約50の口座について、約18か月間にわたり調査していた。

 北朝鮮は米国の金融制裁に強く反発し、6か国協議への参加を拒否し、ミサイル発射や核実験実施などで対決姿勢を強めた。

2007年3月15日12時12分  読売新聞)

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