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IP電話

 家庭の加入電話をインターネット・プロトコル電話(IP電話)へ切り替える人が増えている。ADSLや光ファイバーなどのブロードバンド回線を利用するものだ。通話料金が全国一律で、電話代を安くできるメリットがある。

 IP電話は、一般の電話回線を通さず、ブロードバンド回線で音声を伝えるサービス。利用の際、自宅で使っている電話機を替える必要はなく、事業者から貸与される接続機器とつなげればよい。電話番号は、事業者やサービスにより、「050」から始まるものと、従来使っている「03」などの市外局番から始まる番号をそのまま利用できるものとの2種類ある。

 総務省によると、2007年度以降、IP電話の利用数は年々増加し、今年6月末時点で約2921万件。減少傾向の加入電話(約3516万件)との差が縮まっている。IP電話の中では電話番号をそのまま使えるタイプの利用が増えており、IP電話全体の75%を占める。このタイプで全国展開しているのは、NTT東・西日本の「ひかり電話」と、KDDIの「auひかり」電話だ。

 IP電話の利点は、料金の安さだ。加入電話への通話料は、多くの事業者で8・4円(3分)ほど。市内外や県外を問わず、全国一律だ。加入電話の8・925〜84円(同)より安い。携帯電話への通話料も16〜18円(1分)とするところが目立ち、加入電話の21〜42円(同)を下回る。通話料と別にかかる毎月の基本料金も、加入電話では1680〜1785円(NTT東西の住宅用プッシュ回線)だが、IP電話は無料〜525円程度。

料金割安 導入に条件も

 消費生活アドバイザーの和田由貴さんは5年ほど前、自宅のあるマンションに光回線が敷設されたことから、「ひかり電話」に加入。電話をかける機会は多くないが、「毎月の基本料金の差額約1000円分は安くなった」と話す。

 付加サービスをつけるところもある。「auひかり」電話の利用者で、auの携帯電話やスマートフォン(スマホ)も使っている場合は、「auひかり」電話同士や携帯、スマホへの通話が無料になる。「050」のタイプでも、同じ通信事業者グループ間の通話を無料とすることが多い。

 ただ、導入には注意点もある。総合情報サイト「オールアバウト」のパソコンガイド、内川功一朗さんによると、IP電話は、ブロードバンド回線が引かれていないと使えず、回線がなければ初期工事が必要となる。マンションや賃貸住宅の居住者は、利用できる業者やサービスが限られる場合がある。

 また、大半はインターネットサービスへの加入が前提。電話料金と別に、月々数千円のインターネット利用料金がかかる。「ネットを使わない人には、メリットがあるとは言えない」と内川さん。

 さらに、停電時も使用できないほか、「050」では、光回線などの電話よりも音質が不安定で、110番や119番などの緊急通報ができない点にも気をつけたい。

 内川さんは「導入にあたっては、自分の電話の使い方や、IP電話のメリットとデメリットを理解した上で検討するとよい」と助言する。

IP電話を導入するなら
・従来の電話機やファクスは、原則としてそのまま使える
・インターネットサービスの加入が前提となり、電話代に加えネット利用料金もかかることが一般的
・緊急電話やフリーダイヤルなどにかけられないものもある
・ブロードバンド回線があることが条件。ない場合は、事業者などに回線の引き込みができるか確認を。費用を伴う初期工事が必要となることも
(和田さん、内川さんの話を基に作成)
2012年10月25日  読売新聞)

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