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Vol.399 フォルクスワーゲン アップ!小型車ユーザーの選択肢広げる一台試乗したのは、上級グレードとなるハイ・アップ!の4ドア。183万円(消費税込み)
白いボディーのハイ・アップ!のダッシュボードは、ダークシルバー色だが、別のボディーカラー用に黒、赤、ライトブルーがある
大人が4人で快適に移動できるクルマを目指したアップ!の後席は、きちんと座れて窮屈さはない
荷室はすごく広いとは言えないが、床は2段になっていて深さはそれなりにある
後席の背もたれは左右分割式で前方へ倒すことができる。これにより荷室のスペースが広くなる
直列3気筒の1000ccエンジンは、900〜920キロの車体には十分な力を備え、振動や騒音も少なく快適に走らせる
後席ドアのガラスは下には開かず、このようにわずかな隙間が開く程度だ
5速ASGという新しいトランスミッションのシフトレバーは、N(ニュートラル)位置でエンジンを始動する
フロントガラスのルームミラー裏側に、「シティエマージェンシーブレーキ」用のレーザーセンサーが取り付けられている
ドイツのフォルクスワーゲンでもっとも小型の「up!(アップ!)」が、10月1日から発売になった。フォルクスワーゲンは、これまでも「Lupo(ルポ)」や、「Fox(フォックス/日本市場には未導入)」といった小さなクルマを車種として持っていたが、日本には独自の軽自動車の存在があり、価格的にもなかなか競争力を得られずにここまで来た。 アップ!は、そうした軽自動車の愛好者をも視野に入れ、日本市場に再挑戦する意気込みだ。その想いは、ヨーロッパ市場以外では、最初に日本で売り出すという導入の仕方にも表れている。 日本市場でもっとも知られているフォルクスワーゲンのクルマは「Golf(ゴルフ)」であり、その下に「Polo(ポロ)」がある。アップ!はそのポロよりさらに小型のクルマだ。 存在感高める四角いプロポーション車体の大きさは、全長が軽自動車規格とほぼ同等といえそうな3メートル545ミリ(軽自動車は3メートル480ミリ)、その差は65ミリで、見た目には気付かないほどだ。全幅は、より広くて1メートル650ミリあるが、これは日本の5ナンバー車枠におさまる。 見るからに小さいアップ!だが、案外しっかりとした存在感があるのは、軽自動車に比べ横幅があるからだろう。また、骨太の骨格を思わせる四角くシンプルなプロポーションや、笑顔のような独特の顔つきも、アップ!の存在感を高めている。誰もが「一度は乗ってみたい」と思う姿ではないだろうか? エンジンは、1000cc(軽自動車は、660cc)で、75馬力。燃費性能は、JC08モードで23.1km/Lである。トランスミッションは、新開発の5速ASGを使う。ASGはマニュアルトランスミッションを活用したオートクラッチ方式で、変速の際にクラッチ操作を自動的に行う機構を備え、イタリアのフィアット500なども同様の方式を使っている。足元は2ペダルなので、AT免許で運転できる。 ASGの基本はマニュアルトランスミッションだ。なので、アクセルペダルを踏みっぱなしにして加速し、速度を上げていくと、変速するときに息継ぎのような失速感覚が起こる。しかしそこは、マニュアルトランスミッションで変速するのと同じように、変速の瞬間、わずかにアクセルを戻す操作をすると、滑らかに加速させていくことができる。 「漫然とラクに運転できる方がいい」という人に、そういう手間は向かないかもしれない。しかし、そうしたちょっとしたコツをのみ込みながら、快適な運転を楽しむことに興味を覚えている人には面白いトランスミッションだ。また、坂道発進用にヒルホルダー機能がついているので、上り坂で発進の際、バックしてしまう心配はない。 ASGはオートマチック車同様の自動変速も可能だし、シフトレバーを自分で操作するようなマニュアル感覚を味わえる選択肢も備わっている。 価格抑えても衝突安全性にこだわりさて、アップ!には2ドアと4ドアの2種類がある。また、グレードの設定はムーブ・アップ!とハイ・アップ!(4ドアのみ)の2種類がある。今回試乗したのは、4ドアのハイ・アップ!だ。価格は183万円(消費税込み、以下同)である。ちなみに、2ドアのムーブ・アップ!は149万円、4ドアのムーブ・アップ!は168万円で、軽自動車の高価格帯とほぼ同じ水準だ。 アップ!の各部をいろいろ見ていくと、軽自動車と競合できるような価格を意識した作りであるのに気付かされる。たとえば、後部の窓は、通常のように下には開かず、後端が空気抜きのためわずかに外側へ開くのみだ。したがってパワーウインドーは、運転席/助手席の窓だけで、その開閉スイッチは、左右それぞれのドアにしかない。つまり、運転席から助手席の窓ガラスを開けるためには、助手席のドアの取っ手にあるスイッチを押さなければならない。 一方、安全装備では、5〜30km/h未満で走行中、10メートル先の障害物を検知して自動停止する「シティエマージェンシーブレーキ」が、すべてのグレードに標準装備されている。また、衝突安全では、ヨーロッパ基準で最高の5つ星を達成している。 後ろの窓ガラスが下へ開かなくても、エアコンディショナーが装備されていれば室内環境に不具合はない。それよりも、安全性を充実しながら価格を抑える作り方は、ドイツ車ならではの発想と言えるだろう。 エンジン排気量がわずかに1000ccでターボチャージャーなどの過給器はつかないが、900〜920キロという1トンを切る軽い車両重量によって、アップ!は軽快に加速し、気持ちよく走った。そして高速道路でも、さすがにアウトバーンを持つ国の生まれだけに、落ち着きのある安定性を見せた。座席も十分なゆとりがあり、きちんと座れて疲れにくい。 自動車ユーザーが軽自動車やリッターカーと呼ばれる1000ccエンジンクラスの小型車を選ぶ理由は、人によっていろいろあると思う。その中でも多いのは、日常の足としての実用性と経済性であろう。そうしたとき、アップ!の登場によりほぼ同じ価格帯の中から輸入車を選ぶことができる、しかも日々の足としてだけでなく長距離移動も楽しめるというのが、アップ!の魅力ではないだろうか。 ボディーカラーと内装色の組み合わせが選べるのも、クルマ選びの楽しみをさらに高めてくれている。
(2012年10月2日 読売新聞)
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