「HUNTER×HUNTER」の魅力を語る桜 稲垣早希さん
「HUNTER×HUNTER」の魅力を語る桜 稲垣早希さん

 アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」のヒロイン・アスカの物まねで知られるお笑い芸人の桜 稲垣早希さん。「エヴァ」だけでなくさまざまなアニメやマンガ、ゲームが大好きという稲垣さんが、熱い思いを語ります。(毎月25日更新)

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 こんにちは! 今回は、私がいまさらながらに最近読んで個人的に熱くなった、マンガ「HUNTER×HUNTER」についてです。

 冨樫義博さんの作品は「幽☆遊☆白書」が好きで、子供のころテレビアニメでよく見てました。それこそ、影響されやすい私は暗黒武術会が好きだったので、あのリングの上で戦うさまを見て、小学校の時の将来の夢の欄に「プロレスの審判になる」と書いていたほどです。

 でも「HUNTER×HUNTER」は今まで不思議と読んだことがなかったのです。なぜかというと、「HUNTER×HUNTERはよくお休みする」と聞いてたので、そんなんだったら読み始めたら続きが気になってどうしようもなくなっちゃうじゃない!!と思って手を付けずにいました。

 ですが、私のマネジャーさんが実は「HUNTER×HUNTER」の大ファンでして、会うたびに熱く語ってくるのです。「稲垣さん!ぜひ一度読んでください! 面白いですから!!」と。

 でも私は「え~、いまさら読むのもなあ。完結してからでも遅くないでしょ~」と言っていましたが、マネジャーさんが「稲垣さん!!HUNTER×HUNTERはいつ完結するか全く分からないんです!! そんなの待ってて年老いて読めなくなったらどうするんですか!!」と言ったのです。

 うーん、そこまで言うなら……と1巻手に取って読んで、おどろくほどはまりました。1巻から最新巻の30巻まで一気読みです。

 「HUNTER×HUNTER」は、主人公のゴンたちがハンターになるためにハンター試験を受けて、ハンターになってからそれぞれの目的のために、進んで行くというストーリーで、ゴンはハンターのお父さんを捜す旅に出ていろいろなことに遭遇していくという物語です。

 ですが、このマンガは面白い!! あらすじだけでは伝わらない妙な展開が待ち受けています!! 面白さが他の少年マンガとはだいぶ違ってます。はっきり言って、ひねくれてます!

 これは良い意味なのですが、バトルマンガの場合、強い敵と戦って勝ったり負けたりして強くなっていくのが王道だと思うのですが、それがこの「HUNTER×HUNTER」だと、まずそんなに戦わないんです!!

 初めの方はまだ戦う場面が多いんですが、オークション会場で商品を落札するために、どうお金をためたらいいかとか、「グリードアイランド」というゲームの中に入っていくエピソードなんか、ゲームのルールの説明が細かいのなんの!!

 カードを集めていくのですが、何十枚とあるカードの内容を完全に決めています。このカードを使うとこんな能力があるとか、カードを持っておけるのは何枚までとか、レアなカードがどうとか! なんかもうすごく細かい設定があります。

 正直ここまで決まってなくてもストーリーは進められるんじゃないかなって思ってしまうのですが、作者さんのこだわりなんでしょうか、もう趣味なんでしょうか? このカードゲームは実際今すぐどこかのおもちゃ会社が作れてしまうんじゃないかというレベルです!!

そして、ようやく戦闘シーンが出てきそうな最強な敵があらわれたんです!

 虫が人間や動物を食べてどんどん強くなっていくという「キメラ=アント」のエピソードです。ですが、ここでもやられました。ボスの終わり方に度肝を抜かれたのです。え? これで? 本当に!? うそでしょ!? ここから「どかーん」とか「バキ!!」とか戦闘するんでしょ? だってあんなに主人公たちは修行して新しい技を手に入れてたのに…え? え? ええええええーーーーーーーーーーー!!って感じです。しかし、ある意味どんな戦闘よりも心を打つというか、戦いだけがすべてじゃない!!っと気づかせてくれました。

 キャラクターもすごく魅力的で主人公のゴンの他にも次々と新キャラが出てきます。私が特に好きなのはヒソカです。

 ヒソカは初めから強くて謎で、敵なんだけど味方になるときもあって、誰よりも人を倒すのが好きな変態なのですが、なんだかどんどん魅力的になっていきます。そして、やはり人気なのがキルアだと思うのですが、殺し屋一族のゾルディック家に生まれてその生い立ちは異様なものなんだけど、初めての友達ゴンのために命をかけて守ります。このキャラはどんどん魅力的になってきてビックリします。そして、主人公のゴンが実は一番くせ者です。まっすぐなんですが、まっすぐすぎてもう見てられません!!

 とにかくですね、「HUNTER×HUNTER」は全く想像できないマンガなんですよ! だから、他の作品よりも続きが気になるのですが、こんなに面白かったら作者さんがお休みしても、待ってでも読みたい!!と強く思わせてくれるすごいマンガです。

 そして来年の1月になんと劇場版が公開されるんですよ! しかも内容が、あの幻影旅団のヒソカがナンバー4になる前のナンバー4の人物の話とかでかなり気になります!! なぜヒソカに変わったのか!? 今から楽しみで仕方ありません!! やってる映画館を私の“円”で見つけたいと思います!

 ◇プロフィル

 桜 稲垣早希(さくら いながき・さき)=1983年、神戸市生まれ。07年2月に、お笑いコンビ「桜」を結成。07年の「M-1グランプリ」で3回戦に進出するなど活躍していたが、09年末に相方がコンビを卒業し、ピン芸人として活動。アニメ「エヴァンゲリオン」のヒロイン、アスカの物まねで知られ、バラエティー番組「ロケみつ」(毎日放送)でブレーク。「R-1ぐらんぷり」で2年連続で準決勝に進出したほか、「吉本べっぴんランキング」でも3年連続で2位を獲得している。最近ではバラエティー番組などでナレーションもこなすなど、芸の幅を広げている。