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あぶくま抄(12月13日)

 立ち入りを規制するプラスチックの仕切りが周囲に立つ。郡山市のビッグパレットふくしまは15日に始まる「原子力安全に関する福島閣僚会議」の準備が進む。政府と国際原子力機関(IAEA)が主催し、120の国と機関から代表が出席する。

 県内で国際会議を開くのは20年前の4極通商サミット以来となる。日本、米国、カナダと当時の欧州共同体(EC)の貿易担当閣僚が北塩原村に集まった。当時、通産相だった渡部恒三元衆院副議長がホスト役を務めた。夕食会では地元の「福島牛」を味わい、会津の観光も楽しんだ。

 今回は歓迎ムード一色ではない。「『原子力の危険性に関する会議』に名称を変えるべき」「今ごろIAEAに来てもらっても…」。事前に開かれた地元説明会では県民から厳しい声が飛んだ。「しっかりと現状を見て、それぞれの国で伝えてほしい」。避難中の女性は声を振り絞った。

 ビッグパレットふくしまは震災発生から半年の間、最大約2500人が避難生活を送った。復旧した施設は国際会議場として高い評価を受けている。出席者は避難所としての姿を思い描けるか。そうでなければ、この地で開催する意味が薄れる。

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