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【衆院選終盤戦】有言実行の政治を期待(12月14日)

 衆院選は16日の投票に向けて、各党とも最後の追い込みに入っている。訴えは激しさを増しているが、気になるのは公約を中心とした論戦の一方で、批判合戦が目立つことだ。大切なのは政党や立候補者が何を実現してくれるかという「実行力」ではないか。選挙戦も残り2日。有言実行の本物を見極めたい。
 公示日の4日、民主、自民、日本未来、社民4党の党首が県内で第一声を上げた。第一声で県内に党首がそろうのはこれまでになく、極めて異例なことだった。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復興を最重要課題に位置付けていると感じ、その後どのような具体策を示してくれるのか期待した。
 しかし、公示日以降、現在まで4党の党首は本県に入っていない。広い日本を駆け巡っているためと理解するが、第一声の意気込みは何だったのかという疑念も残る。まだまだ風評や風化に苦しんでいる本県が政治・選挙というまな板に載せられ、翻弄[ほんろう]されたのではやりきれない。
 論戦を聞くと、争点となっている消費税増税、環太平洋連携協定(TPP)交渉、経済対策、さらには北朝鮮のミサイル発射まで、さまざまな分野で批判し合っている。批判は政策の相違にとどまらず、諸課題への対応、人物にまで及び、聞くに堪えないときもある。本県と密接に関連する原発政策では原発ゼロ、脱原発、卒原発などの単語が並び、何がいいのか迷ってしまう面がある。
 前回の衆院選で自民党は「日本を守る、責任力」、民主党は「政権交代。国民の生活が第一」のキャッチコピーを掲げて戦った。結果は当時、頻繁に首相が交代するなど迷走した自民が敗北、民主が政権を奪った。それから3年余、今度は公約を十分に果たせなかった民主が矢面に立たされている。
 新聞やテレビの世論調査は「自民優勢、民主劣勢」を伝えている。結果は間もなく判明するが、政治家に期待するのは日本、福島の窮地を救ってくれることだ。経済は落ち込み、日本全体に元気がない。本県は除染がなかなか進まず、放射能の汚染物質の行き場も決まっていない。復興には長い時間がかかる。
 批判合戦の中のぜい肉部分はそぎ落として選挙戦を見詰め、本当に国のため、福島のために汗を流してくれる政党、立候補者を絞り込みたい。今年の世相を表す漢字は「金」だった。来年からの未来が今のくすんだ灰色から金色に輝くよう「金」にふさわしい政治を選択したい。(半野 秀一)

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