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あぶくま抄(12月18日)

 「300、296、294」。総選挙で得た自民党の議席数だ。最初は昭和61(1986)年夏の衆参ダブル選挙時、次が平成17年秋のいわゆる郵政選挙。最後は16日投開票された今回の結果だ。いずれも歴史的大勝といえる。
 連立を組む自民、公明党の議席は「325」に上った。定数480の「3分の2」を超えたことは特別な意味を持つ。憲法五九条は、衆院で3分の2以上の議決があれば、参院で否決された法案を再可決できる、と定める。九六条は「憲法改正の発議」をする条件として、両院でこの割合以上の賛成を明文化している。圧倒的多数が国を動かすことを示す。
 映画「のぼうの城」が公開中だ。石田三成率いる豊臣軍が小田原北条氏の支城を攻め落とそうとする。しかし、2万もの大軍がわずか2千人余の守りを突き崩せずに終わる。数は力の全てではない。
 郵政選挙で圧勝した自民は次第に国民の心と懸け離れ、4年後に大敗する。一方、相対した民主党はマニフェストを掲げ「308」議席で初の政権を得たが、公約の不履行などがたたり、惨敗を喫した。圧倒的勝者におごりが生じやすいのだろうか。見極めていくのは国民だ。

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