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【プレイバック芸能スキャンダル史】

同居人と一緒に薬物で逮捕された槙原敬之

【芸能】

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2012年12月12日 掲載
<1999年8月>

「どんなときも。」を筆頭に、ヒット曲を連発した槙原敬之が覚醒剤取締法違反で逮捕されたのは99年8月。芸能界を揺るがしたトップアーティストの逮捕劇だった。

 8月26日、朝9時を過ぎたころ、南青山にある槙原敬之(当時30)の自宅マンションを4人の捜査員が訪ねた。オートロックのインターホンで呼び出された槙原は素直に捜査員を自宅に入れ、捜査員はソファのカバーに隠されたペンケースを発見する。中には覚醒剤約1グラムが。槙原は「すみません」と容疑を認めて覚醒剤取締法違反で逮捕された。

 この段階では事件は伏せられたが、4日後に逮捕が明るみになり、所属事務所は素早く対応して9月から予定されていたツアーの中止と無期限の活動停止を発表。槙原は事務所を通じて「ごめんなさい。何よりもいままで応援してきてくれて、コンサートツアーを楽しみにしていてくれたファンの皆さんに……。もう本当にどのような処分も受ける覚悟です」とコメントした。

 この事件では部屋にいた元フリーアルバイターの23歳男性も同時に逮捕された。槙原はこの男性と2万円ずつ金を出し合い、新宿の売人から覚醒剤を購入したという。この男性が以前、新宿2丁目のニューハーフクラブに勤めていたことも報じられ、槙原の私生活も知られるところとなった。

 一連の騒動に頭を抱えたのはレコード会社。すぐに店頭からのCD回収を発表した。薬物による逮捕で、活動停止や新曲の発売中止を行う例は多いが、CDの全品回収は異例ともいえる厳しい措置。ファンからは「厳し過ぎる」「やり過ぎ」という声が相次いだ。

 しかし、回収騒ぎで逆に槙原のCDセールスに火がついたから何が幸いするかわからない。報道にあわてたファンが回収前の店頭CDを買いあさったため、槙原のCDは過去の作品を含む7枚が100位以内にチャートイン。逮捕されたアーティストのCDの売り上げが2億円超という珍現象になった。

 裁判で槙原は起訴事実を認め、「捕まった瞬間から震えが出てきた。覚醒剤の恐ろしさはすごく実感しています。逮捕された時は“これでやり直せる”と思いました」と語った。99年12月8日には懲役1年6月、執行猶予3年の判決。

 この事件のツケは大きかった。コンサートツアー中止、CD回収などの損害は20億円とも噂された。1年間の謹慎生活を送った槙原は2000年11月、アルバム「太陽」を発売。本格的に活動を再開した。03年にはSMAPに楽曲提供した「世界に一つだけの花」がヒット、負債は完済。先ごろ、毎年巨額の印税収入が入ることもわかった。

 その後の槙原だが、逮捕歴を伏せる芸能人が多い中、テレビなどで体験を語ることも多い。同性愛についても認める発言をし、一緒に逮捕された男性は自らの所属事務所社長に迎え入れた。

◇1999年8月 12日、組織犯罪対策3法が成立。同日、改正住民基本台帳法成立。14日、増水した神奈川県玄倉川で中州に取り残されたキャンプ客13人が死亡。17日、トルコ西部で大地震。死者1万7000人以上。20日、第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行が事業統合を発表。
~2012年12月12日以前の記事~

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