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【続 鬼の遺言】

横浜高が松井君(桐光)を“怪物”にしてしまった

【野球】

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2012年12月15日 掲載

どうにもならない今の子たちのハートの弱さ

<2012年を振り返る>

 2012年を振り返ると、やはり負けた試合が印象に残る。
 今春のセンバツ準々決勝の関東一戦は悔しい試合となった。

 横浜が1点を返し、なおも1死一、三塁から、三塁前のスクイズで三塁走者だった主将の尾関一旗(3年)が悠々と同点のホームインをしたかに見えた。が、関東一の捕手が球審にベースを踏んでいないとアピールし、本塁ベース空過が認められてアウト。試合も2―4で敗れた。尾関はかかとで数センチ踏んでいた。何とも残念なプレーだった。

 そして夏の予選。神奈川大会準々決勝で桐光学園と対戦した。桐光の左腕エース・松井裕樹君(2年)の大きな縦のスライダーはまず打てない。ただ、投球モーションの大きさなどから、数少ない得点のチャンスは「三盗」とみて「勇気を持ってスタートを切る」とチームで徹底した。しかし、チャンスがあったにもかかわらず走れない。2死になってから成功したものの、これでは遅い。2死なら松井君は打者勝負で済む。

 さらに、失点に絡んだ3度の内野安打が問題だった。私が分析して各選手に渡した「小倉メモ」には、桐光打線の打球方向の傾向を詳細に記してある。しかし、この時は内野の守備位置にズレが生じていた。結局、3―4で敗戦。10年3月に部長を退いて以来、ベンチに入れないもどかしさを感じた試合となった。

 甲子園に出場した松井君は22奪三振の大会新記録を樹立。とてつもない大きな壁に、横浜がしてしまった気がする。

 新チームの秋。横浜は失策やミス絡みで平塚学園に3―4で敗退。観客が入った公式戦で選手が縮こまってしまった。今年は勝てる試合を落とした印象。今の子たちは年々、ハートが弱くなっている。だから、大事な試合で競り負けるのだ。

 選手たちと接していて感じるのは、練習中に私が少し怒鳴ったくらいで、ビビってシュンとなってしまう子が増えたこと。夏の大会の横浜スタジアムは、満員なら3万人。そのうち、横浜ファンが2万人いたとしても、1万人は相手チームを応援している。私ひとりの怒声で萎縮してしまうような選手が、さらに大観衆の甲子園のような大舞台で活躍できるのか。不謹慎かもしれないが、試合中でも「スタンドのあそこに、いい女がいるぞ」と発見できるくらいの余裕が、今の選手にはない。

 3年の田原啓吾が巨人に育成1位で指名された。左投手でモノは悪くない。球速は140キロほどでフォークを習得中。素直で優しい性格が、生き馬の目を抜くプロの世界で勝負弱さにつながらないか心配ではある。多少やんちゃなくらいがちょうどいいのだ。課題の制球力を磨いて、同じ育成出身左腕の山口鉄也のように、今の100倍稼ぐ投手に出世して欲しい。
~2012年12月15日以前の記事~

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