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【高橋乗宣の日本経済一歩先の真相】

歴史や伝統から学ばない安倍自民党

【政治・経済】

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2012年12月14日 掲載

教育、金融に権力の介入はタブー

 国際的な学力調査で、小4の算数、理科が過去最高点をマークしたそうだ。文科省は「脱ゆとりへの転換の成果」と評価。学習内容や授業時間数を増やしたことが学力アップにつながったとしている。

 当然だろう。「ゆとり教育」ほど無責任なものはない。最大のナンセンスだった。もちろん、子どもの特性を伸ばすのは重要である。しかし、基本的な学力レベルは必要だ。そこをないがしろにすれば、個性も育たない。「ゆとり教育」が持論の有馬朗人元東大総長を文部大臣に抜擢、学習内容や授業時数の削減にゴーサインを出した小渕内閣の罪は重いだろう。

 権力が率先して教育制度を動かすとロクなことにならない。戦前、戦中に学んだ教訓だ。当時は、お国のために命を捧げるのが最大の美徳とされ、客観的な見方や考え方ができる人たちは排除された。「~ねばならない」という教育が推し進められ、多様な価値観も否定。権力を批判すれば非国民とされ、若者は次々と戦争に駆り出されていった。

 今度の選挙では、教育も争点のひとつとなっているようだ。各党とも教育の充実を訴える姿勢は変わりないが、気になるのが自民党である。教育委員会の責任者は首長が任命するシステムに改めるとの主張だ。権力が堂々と教育に口出しできるように変えるというわけである。この発想は非常に危険だ。

 総裁の安倍氏は、教科書検定の見直しや軍備の拡大を訴えているだけに怖い。街頭やテレビCMで「日本を取り戻す」と訴えているが、いったい、どの時代に戻そうというのか。ゆとりの反動として、「お国が第一」の価値観を植えつける教育になりはしないか、不安は消えない。

 安倍氏は日銀法の改正も口にしている。国債をジャンジャン刷って日銀に引き受けさせ、市場をジャブジャブにするという考えだ。権力が勝手気ままに金融政策を決めていく。これも過去の歴史を踏まえて、禁じ手とされているものである。

 手を突っ込んではいけないとされてきた分野に手を突っ込み、思いつくままに引っかき回せば、何もかもぶち壊しだ。教育も金融もグチャグチャになる。

 伝統や歴史に学べば、政治がやるべきことは明らかだ。侵すべきではないタブーは存在する。決して軽んじてはいけない。
【高橋乗宣】
~2012年12月14日以前の記事~

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