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未解決殺人の証拠品紛失 県警ずさんな管理

証拠品の紛失を公表した県警本部刑事総務課
証拠品の紛失を公表した県警本部刑事総務課

 県警本部が、県内の未解決捜査本部事件5件のうち、二本松市と小野町で起きた2つの殺人事件の証拠品計168点を紛失していたことが分かった。18日、県警が発表した。県警は証拠品から血液型やDNA型の鑑定は済んでおり、捜査に著しい影響はないとしているが、法曹関係者からは「証拠品は有罪立証の決め手で紛失は重大。現物がなくては鑑定書の証明力を検証できない」と、ずさんな管理態勢に批判が出ている。

■刃物片や着衣計168点
 県警本部刑事総務課によると、紛失した証拠品は、平成8年2月に捜査本部が設置された二本松市永田の殺人・死体遺棄事件の14品目29点、同9年7月に本部が設けられた小野町の主婦殺人事件の24品目139点。このうち、二本松の雑木林で発見された男性=当時(50)=の骨に付着していた刃物片3点、小野の被害女性=当時(49)=の着衣5点と腕時計1点は重要な証拠品として保管対象になっていた。
 このほか、被害者の遺族に還付するか廃棄すべき証拠品として、二本松の事件でカセットテープ7点やビデオテープ5点など、小野の事件では、唾液が付着した紙片75点、爪19点、たばこの吸い殻などを位置付けていたが、所在が分からなくなっている。
 22年4月の刑事訴訟法と刑法の改正で強盗殺人や殺人などの凶悪事件の時効が撤廃されたことに伴い、県警本部は23年5月に捜査一課に長期未解決事件捜査係を新設し、所轄署で保管していた証拠品を本部に移し捜査を開始した。証拠品や鑑定書の精査を進めたところ、捜査書類には記録が残っているのに所在が分からない証拠品があり、保存簿の記入漏れが分かったという。
 県警は未解決捜査本部事件のほかにも紛失がないか調べる方針。
 斎藤恒一刑事部理事官兼刑事総務課長は「必要な鑑定や捜査は実施済みで捜査に著しい影響はないが、現物がなくなっている以上、支障がないとは言えない」とした上で「大変遺憾で誠に申し訳ない。今後、証拠物件の管理を徹底し再発防止に努めたい」と陳謝した。13日に両事件の遺族に事情を説明し謝罪したという。

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