論説・あぶくま抄

あぶくま抄

  • Check

あぶくま抄(12月21日)

 「大変な状況なのに明るく温かく迎えてもらった」。原発事故後の本県を知る農村体験ツアーで、二本松市を訪れた大学生が感激の表情で語った。生産者が放射性物質の影響を防ぎ、風評被害に立ち向かう姿に心打たれたという。
 民泊した東和地域は以前から都会の若者との交流が盛んだった。休耕地を使った農作業や里山の暮らしへの理解を促してきた。震災後、若者の足が遠のいたが、つながりは切れていない。受け入れ農家の一人は「現状を周囲に伝え、復興を手助けしたい-との言葉が心強い」と感謝する。
 観光関係者も前向きに考え始めた。安達太良山麓のスキー場は昨季、県外の客が激減した。線量は低いものの敬遠された。代わって、二本松市が市内全小中学校のスキー教室を開けるよう支援に乗り出した。今季はさらに本宮市と大玉村が実施する。スキー場や周辺施設は「将来につながる」と受け入れに意欲的だ。
 子どもたちの反応はいい。初めて経験した後、親に連れて来てもらったり、上達を目指してスクールに通ったりする子もいる。数はまだ少なくても連日、ゲレンデに元気な声がこだまする。遠ざかった人々を呼び戻してくれるはずだ。

カテゴリー:あぶくま抄

あぶくま抄

>>一覧