県内ニュース

主要

  • Check

子ども見守る心あったか Xマス前に匿名の浄財

 今年はちょっとすてきなクリスマス-。福島市の児童養護施設「青葉学園」の副園長神戸まり子さん(60)は、25日に開くクリスマス会で園児に配るプレゼントの袋詰めに、職員と共に追われていた。プレゼントに例年よりも少しだけお金を掛けることができた。
 今月6日、差出人不明の封筒が郵便で届いたからだ。中にはしわくちゃの1万円札が15枚と、「子どもたちに温かいクリスマスを」との手紙。袋を開けた時の子どもの喜ぶ姿を思い浮かべ、自然と笑顔になった。
   ◇   ◇
 家庭の事情などを理由に2歳から高校3年生までの53人が生活する。昨年3月に東日本大震災が発生した際には強い余震が続く中、園児全員で一緒にストーブを囲んだり、寝たりした。「パパ、ママに会いたい…」と泣き出す幼い子どももいたが、年上の子どもが必死に励ました。みんなで恐怖を乗り越えた。
 厳しい境遇にありながらも、「家族」として一つ屋根の下で助け合って暮らす。そんな園児が1年で最も楽しみにするのがクリスマス会だ。廊下に飾られている手作りのクリスマスリースには、幼い子どもが思い思いに描いたサンタクロースの顔。すてきなプレゼントが届きますように-。素直な願いが込められた。
 青葉学園は東京電力福島第一原発事故に伴う除染作業中だ。園庭で遊べない園児を気遣い、今年のプレゼントは屋内で遊べる品物が中心になりそうだ。
   ◇   ◇
 消印に埼玉県とある封筒の差出人の欄には「封獣ぬえ」。ゲームアニメ「東方プロジェクト」の女性キャラクターの名前と聞いた。神戸さんは思いを巡らせる。「もしかしたら若い女性かも。お札の状態から見て時間をかけてためたお金なのでしょう」
 震災発生後も多くの人が施設に支援の手を差し伸べてきてくれた。「生きるだけでも精いっぱいな世の中なのに、施設の子どもを見守ってくれる人が確かにいる」。その温かな気持ちこそが、園児への何よりの贈り物だと信じている。

カテゴリー:主要

手作りのクリスマスリースにプレゼントの願いを託す園児
手作りのクリスマスリースにプレゼントの願いを託す園児

主要

>>一覧