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御鎌餅(おかまもち) こしあん&コシある餅

 実りの秋にふさわしいお菓子を紹介しよう。京都の和菓子店「大黒屋鎌餅本舗」の御鎌餅だ。稲を刈る鎌の刃をかたどったもので、豊作を祈る、福を刈り取るという願いが込められている。

 白く軟らかな求肥(ぎゅうひ)餅で、こしあんを包んだものだ。餅はほどよい弾力で、コシがある。あんは口溶けよく、甘みはほどよく、黒糖の風味がする。一つ一つ経木(きょうぎ)でくるんでいるのは、余分な水分を吸って風味を持続させるためだ。

 御鎌餅はもともと、京都への街道の出入り口である「京の七口」の一つ、鞍馬口の茶屋で作られていた。いつの頃からか店もなくなり、忘れられていたが、明治30年頃に、この店の初代が復活させた。初代は宮大工だったが、御所が東京に移って仕事が減り、好きだった甘い物を商売にしようと思い立ったという。

 現在は3代目の山田充哉(みちや)さんが中心となって家族で店を守っている。店は昭和初期に建てられた趣のあるたたずまいだ。

 あんは、北海道産小豆を豆から炊き、何度も水を替えてさらし、炊き上げる。この店ならではの風味があって、後味のいいあんにするのだ。

 求肥餅はもち粉に水を加えて蒸し、しっかりと練り上げている。「求肥餅は十分に練ることで、コシと弾力が出るんです」と山田さん。求肥餅はあんと一体になって口の中で溶けるのが理想だ。季節やその日の天気をあんばいしながら仕上げている。取り寄せ可。冷凍保存することもできる。(フードライター)

 1個210円

 大黒屋鎌餅本舗

 (電)075・231・1495

 〒602・0803 京都市上京区寺町通今出川上ル4 阿弥陀寺前町25

2012年10月13日  読売新聞)

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