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未来へ若い力を育てる 福島民報社 特別座談会

 新春を迎え、福島民報社は佐藤雄平知事、渡辺利綱大熊町長、女優の秋吉久美子氏、世界からの福島への支援に対し感謝を伝えた、うつくしま復興大使の藤田浩志氏、本社の高橋雅行社長による新春特別座談会「ふくしまの着実な復興に向けて」を開いた。5人は東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復興を成し遂げる上で、若い世代が持つ「未来を切り開く力」を育てる重要性を指摘。さらに、苦境をばねに、新たな発想や価値観でこれからの県土づくりを進めることが大切になるとの認識で一致した。
 今年を除染や中間貯蔵施設整備など山積する課題に着実に取り組み、復興に向け前進する年と位置付け、意見を聞いた。
 佐藤知事は、双葉郡などから15万人余が県内外に避難している現状を踏まえ、地域の絆や人のつながりを保っていくことが将来の復興につながる、と強調した。
 その上で、子どもたちとの意見交換を振り返り、「どの子どもたちもしっかりと本県の現状を見据え、自らが福島の未来を切り開くという気持ちを持っていた」と、若者が持つエネルギーに期待。除染や健康管理などの施策を推し進め放射能への不安を解消することで、県外に避難している子どもの帰還を促す考えを示した。
 藤田氏は、復興大使として女子高校生、女子中学生と共に英国ロンドンを訪れた際、最初は戸惑っていた2人が、滞在期間中に成長し堂々と英語で会話したエピソードを報告。震災と原発事故に伴う、世界からの支援に感謝を伝える重要性を認識したとし「大人がすべきことは子どもが夢を語り、チャレンジできる環境をつくることだ」と若者支援の在り方の方向性を示した。
 渡辺町長は、原発事故により現在も高い放射線量下にある町の復興に向けた課題に言及。果樹が盛んだった町内の農業を引き合いに出しながら「土を使用しない花などの施設園芸作物の導入が必要になるだろう。震災と原発事故以前に戻すだけではなく、むしろプラスの魅力ある生活環境を生み出せるよう気持ちを切り替えて取り組む」と決意を語った。
 秋吉氏は、日本人にとって震災と原発事故が従来の価値観を見直すきっかけになったとの認識を示した。「(福島では)友情の手を差し伸べてくれた全国の人々との交流が育っている。それを国民1人1人が再発見できたとき、新たな道が開ける」と地域や全国との絆が着実な復興を果たす上で重要とした。

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新春特別座談会で意見を交わす(左から)藤田氏、渡辺町長、佐藤知事、秋吉氏、高橋社長
新春特別座談会で意見を交わす(左から)藤田氏、渡辺町長、佐藤知事、秋吉氏、高橋社長

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