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ホンダ「N―ONE」 静かに 安全に 充実の軽 ホンダが発売した新型の軽乗用車「N―ONE」が注目を集めている。これまで軽は、燃費の良さや低価格が魅力だったが、走りや内装も小型車に負けないほどレベルアップしている。 不安払拭最上級モデル「プレミアム ツアラー・Lパッケージ」は、走りと安全を重視したターボ仕様車だ。加速は、排気量1・3リットルの小型車「フィット」並みで、急な坂道や高速道路の運転も苦にならない。 走行中は静かだ。ダッシュボード付近の防音材を三重構造にすることで、室内で聞こえるエンジン音を抑えている。車体上部を軽量化し、低重心の安定走行も楽しめる。 安全面にも力を入れた。走行中に急ブレーキをかけると、自動でハザードランプが点滅する「エマージェンシーストップシグナル」を軽で初めて導入した。独BMWなど高級車に使われる機能だが、開発責任者の浅木泰昭さん(54)は「軽が不安だというイメージを払拭したい」と狙いを話す。雪道などで横滑りを防止するVSA(車両挙動安定化制御システム)も標準装備した。一部のグレードには、横から衝突された際に衝撃を和らげるサイドカーテンエアバッグも搭載した。 大衆車の象徴N―ONEは、往年の名車「N360」(1967〜1972)の後継モデルに位置づけられる。「和製ミニクーパー」の異名で親しまれたN360は、二輪車中心だったホンダが、乗用車の量産を本格的に始める原点となった。価格は、31万円と当時人気だった軽乗用車「スバル360」(42万5000円)よりも安く、ベストセラーカーになった。 N―ONEも、フロントマスクや丸形のライトでN360の面影を残している。 軽市場 競争激化軽自動車の人気が高まり、大手メーカーの本格参入が相次いでいる。日産自動車と三菱自動車は軽の共同開発を進め、2013年夏に新型車を投入する予定だ。軽の老舗であるダイハツやスズキも、燃費向上の新技術などで攻勢をかけており、軽市場の争いが激しくなっている。 国内新車販売のうち軽の比率は、室内が広いワンボックスが出始めた1990年代から徐々に拡大し、11年には全体の4割近くを占めるまでになった。市場調査会社ティー・アイ・ダヴリュの高田悟・シニアアナリストは、「各社が商品力を高めており、税金や燃料など維持費も安く、今後も市場の成長が見込める」と分析している。 カラフル16色 おしゃれにN―ONEの開発責任者の浅木泰昭さんに聞いた。 ――開発を始めた理由は。 「多くの人の思い出が詰まったN360を復活させたかった。当時、小学生だった私の家に初めて来た車もN360だった。性能や走りではほとんど小型車と変わらない自信作だ」 ――N360との共通点は。 「どちらも日本車になかったデザインだと思う。BMWミニやフィアット500(チンクエチェント)のようにあか抜けている部分がある。16色をそろえ、カラフルでおしゃれなイメージにした」 ――これから軽はどう進化するのか。 「強みである燃費の良さに加え、弱かった安全整備を充実させることが大切だ」(中島幸平)
(2012年12月10日 読売新聞)
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