■独自企画を柱に総合図書充実
◆600冊をリリース
主力のマンガ配信事業に隠れがちだが、イーブックジャパンは文芸書や一般書などの総合図書の配信にも力を入れてきた。
その柱となるのが独自企画で、とりわけ象徴的な取り組みが東洋文庫(平凡社)の電子書籍化である。これまでに刊行されてきた約700冊のうち、これまでに約600冊の電子版をリリースしており、『和漢三才図会』『アラビアンナイト』といったアジアの名著の電子化は高い評価を得ている。今年は残りの100冊の電子化が動き出す見通しだ。
2011年秋に開始した『立花隆全集』も注目の独自企画である。田中角栄元首相の金脈・人脈を徹底的に検証した名著『田中角栄研究』(全2巻)、『ロッキード裁判傍聴記』(全4巻)、『エーゲ 永遠回帰の海』の計7冊の電子版をこれまでに刊行している。電子化にあたっては紙の本をベースにしつつ、資料などの増補を行ってオリジナルの電子版としたところがセールスポイントだ。
読み物のランキングを見ると、2位『逆説の日本史』と3位『のぼうの城』は昨年、6位『横山秀夫傑作短篇シリーズ』と7位『スティーブ・ジョブズ』は一昨年にそれぞれ刊行された書籍だが、そのほかはランキングの常連作品である。
読み物以外の売れ筋は図鑑や写真集で、1位が荒俣宏『世界大博物図鑑』で、以下、篠山紀信『水沢アキ シノヤマネットSBOOK』、荒木経惟『荒木経惟写真全集』の順に続く。篠山紀信の写真集は若手女優のものもある中で、イーブックジャパンのサイトでは『水沢アキ』の売り上げがトップを飾ったという。かつて小学館の男性誌『GORO』で激写グラビアに見入った世代が購入しているのだろうか。