日経BP企画
空洞化はまだ起きていない 日本の産業の「空洞化」を懸念する声は多い。だが、本書は日本には真の空洞化は起きていないと主張する。
産業の空洞化は2段階で起きる。第1段階は「生産代替」で、ある製品の国内生産が海外生産に代替される段階である。第2段階は生産転換しないこと。第1段階の生産代替によって必然的に起きるその製品の国内生産の縮小を、企業全体の生産基盤の縮小へと直接的につなげてしまうことである。別の製品の生産に事業活動を転換すれば、生産品目の転換は起きるが、企業全体での生産基盤の縮小は起きない。
1970年代の米国では、第1段階と第2段階が連動して起きたため、海外生産の拡大が国内の空洞化に直結した。一方、日本では第1段階の生産代替はかなりの規模で起きているが、第2段階には直結していない。生産代替には、海外生産に必要な設備や機械、部品など中間財の輸出が拡大するというプラス効果もある。
日本企業の経済活動圏は世界的に広がっている。国境を超えて、国際分業体制が出来上がった現状は、「ドーナツ型空洞化」というより、小さな塊を真ん中を維持したまま大きく伸ばす「ピザ型拡大現象」と呼べるとして、いかに“真ん中”を維持していくべきかも解説する。
(日経ビジネス 2004/07/19 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
内容(「BOOK」データベースより)
空洞化が起きるか否かを決める鍵は、国際分業体制のかたちにある。日本企業が国内に残すべき仕事は何かを考え、工夫することが、空洞化を防ぐことにつながる。
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