1977年8月3日、タンディ TRS-80 Model I が発表された。これがタンディ社がホームコンピュータ市場に参入し、 コモドールPET2001やApple IIと対抗するきっかけとなった。 599ドルで販売された TRS-80 は当時のラジオシャック店が扱っていた製品の中では最も高価な製品であった。 同社はコンピュータの市場に入ることが出来るのか確信を持っていなかったため、とりあえず3000台を製造し、 もし売れなかったら3000ある各店舗の業務に使用する予定だった。
タンディは最初の一ヶ月で10,000台を販売し、一年で55,000台を販売した。 1981年1月に販売終了するまで、Model I は 250,000台も売れたのである。
=特徴= Model I は分厚いキーボードのような形状であり(VIC-1001と似ている)、Z80マイクロプロセッサを使用していた。 当初の搭載メモリ(RAM)は4Kバイトだったが、後に16Kバイトになっている。
キーボードからの入力データの転送方法は風変わりである。 普通ならI/Oデバイスやチップを経由してデータをCPUに転送するが、 TRS-80 Model I ではメモリ上の所定の領域にキーボードがマッピングされていた。 つまり、そのアドレスには実際にはメモリはマッピングされておらず、 プロセッサがそのアドレスを読むことによってキーの状態が読み取れるようになっていた。 TRS-80のキーボードは、一回の押下で数回の文字入力となってしまうことが多かった。 これを解決するソフトウェアが配布されたが、これを使うとキー入力への反応が鈍くなった。後にこのソフトはROMに内蔵された。
ROM で内蔵されたBASIC言語にはふたつのバージョンがある。 Level I BASIC は 4KバイトのROMに格納可能で、Level II BASIC は 12KバイトのROMに格納可能であった。 Level I は単精度浮動小数点演算のみでコマンドも少なく、フリーなTiny BASICをラジオシャックでTRS-80に移植したものである。 一方、Level II は倍精度浮動小数点演算をサポートしコマンドも豊富であった。 Level II には後にディスク機能も追加された。 こちらは、Microsoftの16Kバイトの拡張BASICの機能縮小版である。