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紅海沿岸の9つの港を利用する際の放射線検査の証明書添付についての追加的措置(エジプト)

2011年8月28日 カイロ事務所

エジプトの紅海港湾庁(Red Sea Ports Authority)は、同庁管轄の9つの港(Suez Port, Safaga Port, Adabieh Port, Sokhna Port, Sharm El-Sheikh Port, Al-Tour Port, Noueibah Port, Petroleum Dock Port, Hurghada Port)を利用する日本からの貨物に対して、放射線検査の証明書を添付するよう在エジプト日本大使館に伝えた。今後、同庁管轄が指定した港に貨物を陸揚げする場合は、放射線検査の証明書の添付が推奨される。

エジプトにおける日本製品の輸入規制については、緩和や撤廃などの改定の動きはないが、このほど、一部の港において追加的な規制措置が課されたことになったため、以下のとおり報告する。

在エジプト日本大使館の情報によれば、8月15日に同大使館員が紅海港湾庁長官と面談したところ、同長官から、日本からの貨物が紅海沿岸に属する同庁管轄の9つの港他のサイトへを利用する場合、船積書類に放射線検査の証明書を添付するよう要求を受けた。

今回対象となる同庁管轄の紅海沿岸の9つの港は、Suez Port, Safaga Port, Adabieh Port, Sokhna Port, Sharm El-Sheikh Port, Al-Tour Port, Noueibah Port, Petroleum Dock Port, Hurghada Portとなる。近年、Sokhna Portの港湾設備が充実したことにより、従来からAlexandria PortやPort Said Port等の地中海沿岸の港に陸揚げされていたカイロ向けの貨物は、スエズ運河を利用する必要のない紅海沿岸のソフナ港への利用に切り替えられているようだ。

今回の措置の決定は、エジプトが定める放射線基準値を上回る日本からの貨物が、同庁管轄の港に到着したことが背景にあり、今後、放射能に汚染された貨物が到着することを避けたいと考える同長官の判断によって、日本側にこうした要求がなされた。今後、船積書類に放射線検査の証明書の添付がなければ、貨物を隔離した上で検査を実施するため、通関・検査手続に相当な時間がかかってしまうとの同庁長官の見解であった。

今回の措置に関して、長官令が発出されることはなく、特段の法的根拠はなく、義務化されたものでもない。また、同庁管轄以外の他のエジプトの港において、こうした措置が共通的に適用されるものではなく、同庁独自の適用措置である点、注意が必要となる。

なお、検査方法とその結果の判断は、エジプト側の基準に委ねられており、日本側から証明書を添付されていたとしても、その貨物のエジプトへの通関が保障されるものではなく、エジプト側の検査結果によっては、当地での通関が認められない場合もある。

今回の措置は、日本側の放射線検査の証明書があれば、その貨物を優先的に通関・検査されるという措置であり、同証明書のない貨物は、通関・検査を後回しにされてしまうことになるという点に限定される。

また、日本側の放射線検査の証明書に関して、特段、同庁からの様式・書式の指定はない。そのため、同大使館から検査証明書に関して、同庁長官に確認したところ、日本の国土交通省が「港湾における輸出コンテナの放射線測定のためのガイドライン他のサイトへ」において定める証明書であれば、問題ないとの了承を受けたとのことであった。したがって、日本の国土交通省が定める証明書が推奨されるが、今回指定された9つの港を利用する場合は、事前に利用船会社やエジプト側の輸入取引会社に照会・確認の上、船積・発送することが望ましい。

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