「日本珍道具学会」とは~珍道具十箇条
僕は珍道具の製作者としてメディアに取り上げられる事が多いんですけど、日本ではどうしてもイロモノ的な扱いが多いんです。もちろん、それは僕としてはまったくかまわないんですよ。楽しいことは大切だし、それが嫌だとかは思いません。
じっさい「ネクタイつきワイシャツ」や「両方向下駄」「携帯駐車場」・・・・とかまあ、変なものを作っているわけですからね(笑)
珍道具は、すべて僕1人で作っています。これまでに作った珍道具は17年間で700点ほどあって、これまでに8冊の本を書いています。
僕は元々は物書きで、編集プロダクションをやっていたのですが、あるとき
「通販生活」という雑誌で、珍道具の連載をはじめたんです。
それを1つの本にまとめたら、外国の人の目に留まって火がついたってわけです。
▲翻訳本を含めた川上さんの著書
このとき、それまでの連載をまとめて珍道具の本を出したわけですが、このとき「日本珍道具学会」を立ち上げた。1992年です。それが外国の人を刺激したらしくて、イギリスのBBC(!)が取材に来た。
それがきっかけになって
英語の翻訳版が出て、その反響がすごくて、続けて
ドイツ語、スペイン語、フランス語、少し間をおいて
中国語に翻訳された。で、昨年は韓国語にも翻訳された。
つまり、日本語をいれると全世界で7カ国語で出版されたことになります。7カ国語っていうと全世界67億人の大多数をカバーしてるんじゃないですか(笑)ポルトガル語と少数言語の本はまだないけど。人口的にいうと世界の半分以上を網羅していることになるのかな?
▲日本珍道具学会 事務所
そんな事をやっているうちに僕個人の仕事が忙しくなってきたので、それまでやっていた雑誌編集の仕事をやめたんです。オジサンになってくると、編集の仕事は体力的にも結構しんどいんですよ。
現在は、企業の
商品開発やネーミング開発、パッケージの制作アドバイスとかのコンサルタント、というよりは実際のお手伝いですけど、そんな方向へ仕事をシフトしています。珍道具をつくるのには制作費もかかりますからね。
僕はどちらかというと面倒くさがりの性格なので、楽しくない事をするくらいなら遊んでたほうがいいやなんて思っちゃう。
さて、ここで珍道具を定義する
「珍道具十箇条」をご紹介しましょう。これ、いちばん大切ですから。
▲
ペット用赤ちゃんぬいぐるみ~ペット禁止の場所でも
この着ぐるみを着せればOK。鳴き声には注意!
「珍道具十箇条」
①実用になってはいけない
②機能を持っていなければならない
③暮らしの道具でなければならない
④アナーキーでなければならない
⑤市販することを目的にしてはならない
⑥ユーモアを目的にしてはならない
⑦ブラックユーモアを目的にしてはならない
⑧下ネタは厳禁
⑨特許を取得してはならない
⑩インターナショナルでなければならない
この十カ条、わかりにくい所ありますか?まあ実用になってはダメだけど機能は持っていなければダメ、ここがポイントかな。あともっとわかりやすいイメージなら、一言でいうと
「使うと余計不便になる道具」と考えるといいでしょうか。
つまり、商品にしてお金儲けをしてはいけない訳だから、普通の発明品とはベクトルが完全に逆なんです。もちろん、そのベクトルを逆にすれば僕は売れる商品だって作れるわけですけどね。
例えば⑥番目のユーモアを目的にしない、これは笑いを目的にしないという事です。
笑いが目的だとパーティーグッズになってしまう、余計な不純物がくっついてくるからね。
ただし結果として笑いが生まれたものに関しては問題にはしません。ブラックユーモアも同じ。
④のアナーキーとは、つまり権威や常識を取りっ払ってしまおうよ、という事です。珍道具は何からも束縛されない自由なものであるべきなんです。
そして商売にしない。
⑤や⑨はそうですね。市販して儲けたり、特許を取って金を稼ごうとか、品のないことはしてはいけない。
本のタイトルにもしていますが
逆理の発想から珍道具を生み出そうという事です。
逆理とは、つまり常識・慣習・しきたりなど、様々な価値観とは正反対の視点に立って発想する、という事です。
では何の為にそうするかというと、それは逆理の発想をする事で
●見えないものが見えてくる
●問題解決の糸口が見える
●問題自体が問題でなくなることも・・・
つまり発想力を養う、自由な想像力を養うためにそうするのです。
続きを読む⇒常識・習慣・しきたりから逃れる方法
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『逆理の発想』シリーズ紹介