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緊急特集 名古屋か?大阪か?〜高橋尚子の選ぶ道〜

緊急特集 名古屋か?大阪か?〜高橋尚子の選ぶ道〜

大阪か名古屋か“Q極の選択”

2007年11月10日、練習拠点の米国・コロラド州のボルダーから帰国した高橋尚子
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 北京につながる42・195キロは、どっちだ!?11月18日の東京国際女子マラソンから、08年北京五輪の女子マラソン国内選考レースがスタートする。米コロラド州ボルダーから近日中に帰国する00年シドニー五輪金メダルの高橋尚子(35=ファイテン)は、10月25日に東京回避を発表した。残る選考レースは来年1月27日の大阪国際か同3月9日の名古屋国際。11月中旬にも出場レースを絞る方針の高橋は“Q極の選択”を迫られている。

強豪ぞろい東京を回避、土佐内定残り2枠

2006年11月19日、東京国際女子マラソンで3位に終わった高橋尚子
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 10月25日、マスコミ各社に1枚のファクスが届いた。高橋尚子、東京国際には出場せず――。04年アテネ五輪金メダリストで現日本記録保持者・野口みずき、前日本記録保持者・渋井陽子がエントリーしているハイレベルな一戦を、元女王は回避した。今夏の大阪世界選手権で土佐礼子が銅メダルを獲得し、すでに代表に内定。残る枠は「2」だが、野口と渋井の一騎打ちの東京で、優勝した方は代表が確実視される。高橋は来年1月の大阪国際、同3月の名古屋国際で北京切符を狙うが、レースを迎える時点では実質、残り1枠と考えるのが妥当。北京につながっているのは、ナニワかオワリか。どちらを選んでもメリット、デメリットが存在する。

大阪は“マラソン人生”のスタート地

1997年1月26日、大阪国際女子で初マラソン7位でゴールする高橋尚子
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 1997年1月26日、高橋が初マラソンに選んだのは、大阪国際だった。連覇を達成したカトリン・ドーレ(ドイツ)から遅れること5分35秒。2時間31分32秒の7位が、42・195キロの原点だった。大院大時代に学生生活を過ごし、今は母校の特任教授も務めている。今年4月、入学式で高橋は新入生に祝辞を送った。「これからの1年間は集大成として、すべてを出せるようにしたい」。マラソン人生のスタート地点から、集大成に向かう可能性は十分にある。

好タイムが出やすいコース

2007年11月10日、ボルダーから帰国し、愛犬・ラッピーを抱き笑顔を見せる高橋尚子
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 真冬の1月下旬に行われる大阪は、好タイムが出やすいことで有名だ。03年に野口がマークした2時間21分18秒は国内最高記録。初マラソンの日本歴代10傑中、同レースの記録が7つを占める。記録という観点からは名古屋より大阪。ただ、真冬のレースは初マラソン以来で、昨年の東京では右ふくらはぎに故障を抱えていたとはいえ、スタート時の気温10度と冷たい雨というコンディションで失速した。寒さの前では、意外なもろさを見せているのも事実だ。

強豪ぞろいもVなら好印象

アテネ五輪マラソン代表に落選し、会見で涙をこらえながら笑顔で質問に応える高橋尚子
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 ライバルはどうか。03年に大阪で2時間21分51秒の初マラソン日本最高記録をマーク、04年には圧勝しているアテネ五輪7位の坂本直子、今夏の世界選手権代表の原裕美子が出場予定。そして、トラックの女王・福士加代子も参戦を検討している。ハイペースのスピード決戦は必至。東京より落ちるとはいえ、名古屋よりメンバーがそろうことは間違いない。だが、敵が多いからこそ、優勝したときのアピールポイントは高くなる。優勝タイムも自然と上がるはずだ。大阪で代表の座を確実にできれば、本番まで6カ月以上の準備期間を取ることができる。

尾張路は2戦2勝と相性抜群

2000年3月12日、名古屋国際で当時の日本記録を樹立して優勝した高橋尚子
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 2000年3月12日、同年シドニー五輪金メダルへの扉を開いたのは名古屋国際だった。99年セビリア世界選手権は、左足腸けいじん帯炎でレース当日に欠場。98年バンコク・アジア大会以来のフルマラソンだったが、やはり強さは別格だった。驚異的な後半のペースアップで2時間22分19秒。後にアテネ五輪代表を争い、北京五輪代表に内定している土佐礼子を2分15秒も突き放した。岐阜県岐阜市出身の高橋にとって、尾張路は準地元とも言える。

 3月の名古屋は気候的にも高橋向きだ。真冬のレースとは対照的に、多少の暑さは問題なし。バンコク・アジア大会では最高気温30度を超える過酷な条件で、2時間21分47秒の日本記録(当時)をマーク。アジア大会の選考会となった98年の名古屋も2時間25分48秒で制した。アテネ代表を逃し過去3戦1勝の東京、1戦0勝の大阪と比較しても、2戦2勝の名古屋は相性抜群だ。

メンバー的には楽 ただし本番までの間隔が…

2000年シドニー五輪で両手を上げてフィニッシュする高橋尚子
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 名古屋には、今夏の世界選手権6位の嶋原清子、元恩師・小出義雄氏が指導する新谷仁美、土佐の同僚で三井住友海上の秘密兵器・大崎千聖が出場予定。東京、大阪と比較してもメンバー的には最も楽になりそうだ。

 3レース中、最後に開催されるだけに、前2レースのタイムを目標にペースを設定できるのも有利。代表を選出する日本陸連の理事会・評議員会は名古屋終了後に行われるため、直前の名古屋は印象に残りやすい。名古屋優勝選手は、五輪に3大会連続出場中だ。

 デメリットはやはり、本番までのレース間隔。名古屋経由で00年にシドニーを制したとはいえ、35歳の高橋にとっては回復期間を含め、準備期間は長い方がいい。メンバーが落ちるだけに、スタートと同時に自らペースを作る必要もある。ボルダー合宿にたつ前、高橋は言った。「陸上を始めて22年。最後の1周に入った感じです」。勝負をかけるのは、大阪か名古屋か。決断の時が迫っている。

【メモ】高橋尚子の過去の選考レース

2000年シドニー五輪で優勝し、金メダルをかじる高橋尚子
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 <00年シドニー五輪>代表内定を狙った99年セビリア世界選手権を欠場し、00年3月の名古屋国際に出場。前半はスローペースだったものの、後半のスパートで大会新の2時間22分19秒をマーク。本番での金メダルにつなげた。

 <04年アテネ五輪>03年11月の東京国際に出場。前半からハイペースで飛ばしたものの、30キロ手前で失速。39キロ地点でアレムに抜かれ、2時間27分21秒の2位でフィニッシュ。04年1月の大阪を優勝した坂本、同3月の名古屋を制した土佐が代表権を獲得した。

高橋尚子(たかはし・なおこ)

 1972年(昭47)5月6日生まれ、岐阜県岐阜市出身の35歳。藍川東中で陸上を始め、県岐阜商、大院大を経て95年にリクルート入社。97年大阪国際で初マラソンに挑戦し、00年シドニー五輪では金メダル獲得。01年ベルリンでは2時間19分46秒の当時世界新記録をマークした。05年5月、小出義雄氏との師弟関係を解消し「チームQ」を結成。1メートル63、45キロ。

    

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