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野球人生のターニングポイントで入った“ゾーン”

日本ハム時代の下柳氏
日本ハム時代の下柳氏
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 スポニチアネックス読者のみなさん、いかがお過ごしですかな?1週間のご無沙汰です。どうも、下柳です。

 プロ野球ファンのみなさん、DeNAの快進撃どう思われますかな。何と言っても、下柳一押しのチーム。先週も少し触れましたが、変わらず単独首位ですよ! 今はまさに投打がガッチリかみ合っている状態というかね。キャンプでインタビューさせてもらった中畑監督の笑顔を見るたびに、下柳も喜んでおります。

 阪神もようやくエンジンがかかってきた感じかな。もがき苦しんでいた藤浪が14日のヤクルト戦では完投勝利を挙げて。先発投手ってその試合に勝てないと、ほんまに次の登板までが長く感じる…。今回の藤浪はそれが1月以上も続いたんやからね。ただ、その間にいろんなことも考えたやろうし、若い彼にとってはそれも貴重な経験になったはず。ここからどんどん巻き返してほしいと思います。

 さて、今週は『ボディ・ブレイン』でも紹介させてもらったけど、周辺視野のお話を書かせてもらうことにしますわ。

 読者のみなさんは周辺視野と言えば、何を連想されますかな。一番身近なのは車を運転するときになるのかな。目の前の車だけを見るんやなくて、数十メートル先まで含めた全体像をとらえようとしますよね。

 スポーツでもそれは同じ。ピッチャーで言うと、捕手のミットだけを集中していたのでは、どうしても余分な力が入ってしまうことが多い。特にオレはそうやった。いまDeNAのエースとして活躍している久保康友も阪神時代から、よく周辺視野の話しをしとったよ。あいつもそういうことに対する意識が、すごく高かったからね。

 周辺視野の広がりを体感できたのは、2002年シーズンの終盤やった。日本ハムをクビになる直前のこと。他球団へアピールするべく、オレは2試合の登板機会を与えてもらった。実際、投手コーチからは「このマウンドで、他球団にアピールするんだぞ」と言われていたからね。もしも、その2試合で結果を出せていなかったら、オレは野球界から引退せざるを得なかっただろう。

 いま改めて振り返れば、とんでもないプレッシャーがかかりそうな場面やったけれど、そのときのオレはマウンド上で不思議と恐れを感じることはなかった。オレの中では登板に際し明確なテーマがあって、習得しかけていた新球種のシュートスライダーが打者相手にどれだけ通用するのかを確認してみたかった。そういう前向きな気持ちが、余計に集中力を高めていたんやろう。

 その2試合というのはみなさん、驚くかもしれないけれど、ボールを投げようとする瞬間、つまりボールを指先からリリースする寸前に、相手打者のタイミングが合っているかどうかというのが分かった。それだけやない。その打者がオレが投じる何の球種、コースを狙っているのかということまで直感的に分かることができた。もしも、オレが「タイミングが合っている」と判断したら、その瞬間に指先を動かしてコースやタイミングを微調整してね。そうすることで、自分でも驚くほど簡単に打者を打ち取ることができた。投げながら「お、外のコース待っているな」と気がつき、心の中では「はい、残念でした」とつぶやきながら、指先の動きを微妙にずらす。まさに自分にとっての野球人生におけるターニングポイントとなった2試合やった。

 先にも記したように、オレは捕手のミットを凝視してしまうと、どうしても体に余計な力が入ってしまうことが多かった。だから、漠然とミット周辺を見て投げるようにしていたよね。視点を1点に集中することなく、ぼんやりと全体像をとらえるということになる。

 分岐点となった2試合では知らず知らずのうちに集中力も上がっていたようで、周辺視野がいつも以上に広がり打者の姿までもが視界に入るようになっとった。それこそ視野の端っこでとらえた打者の細かな動きを脳が瞬時に判断して、オレに信号を送ってくれたんやろう。しかも、気持ちは冷静そのもの。これが究極の集中状態、いわゆる「ゾーン」に入る上で最も重要な要素であることを知ったのは、後のことやった…。ということで、次週は「ゾーン」を掘り下げた話しを書かせてもらいます。では、ご機嫌よう!

[ 2015年5月18日 ]

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