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“親父”根本さんの思い出…本当にいろんなことを学ばせてもらった

下柳の恩人、故・根本陸夫氏
下柳の恩人、故・根本陸夫氏
Photo By スポニチ

 みなさん、いかがお過ごしでしょうか。どうも、下柳です。

 いやー、それにしてもめっきり肌寒くなってきましたな。ちょっと前まで、暑い、暑いとみんな言うとったのにね。

 さてさて、先週も書かせてもらったけど、今回も「球界の寝業師」と呼ばれた根本陸夫さんについてですわ。

 親しみを込めて親父と呼ばせてもらうけど、オレが一番ビックリしたのは春のキャンプ中の出来事やったね。当時、親父はダイエーの監督。その日はキャンプ休日前日やったんやけど、朝から大雨が降ってね。あまりの雨に、グラウンドが全く使えんようになってしまった。

 「よし、みんな、今日は休みにしよう」

 野球選手の特性やと言えるけど、雨で練習が中止になったら、まあみんな喜ぶわね。ただ、ここまでは想定内。オレも含め、みんなの中では「そうは言っても、休みを振り替えて、明日は練習やろう」という考えたやった。そしたら、次の瞬間、親父がこう言ったんや。

 「みんな。明日は予定を入れているだろう。ということで、明日も休み!」

 いや〜、これには、さすがのオレも驚いたよ。22年間に及んだプロ野球人生で、後にも先にもキャンプでの2連休は一度きり。こういう思い切ったことを普通にできる親父は、やっぱり凄い人やったんやろうね。

 もちろん、男気あふれる思い出もあるよ。あれは1993年6月5日の近鉄―ダイエー戦。藤井寺球場での一戦は9回表を終わって8―2でダイエーがリードしとった。

 先発の渡辺正和さんも8回まで5安打2失点。楽勝やな、と思ってブルペン待機しとったら、近鉄打線が打ち始めてね。慌てて池田親興さんがリリーフしたけど、2連打されてしまって、なんとオレに出番が回ってきてしまった。しかも、まだノーアウト…。

 とはいえ、何とか2死までこぎ着けた。あと1人。で、ブライアントを敬遠して、代打・山下和彦さんとの勝負になった。だけど、結果はセンター前へ抜けるサヨナラの2点タイムリー。最後は送球がランナーに当たって終わりという、どえらい逆転負けをくらってしまった。

 そしたら、案の定というか、根本の親父から招集がかかってね。大阪のホテルへ戻ってから、食事会場に全員が集められた。「あ〜、間違いなく、オレは怒られるわな…」なんて考えていたら、親父が会場へ入ってきて口を開いた。

 「今日はオレのミスで負けた。すまなかった。集まってくれて、ありがとう。以上!」

 この人、なんて格好良いんや!と思ったね。

 もちろん、根本の親父から怒られたこともあるよ。忘れもせん、西武球場での西武戦。オレはベンチからの指示通り完全なボール球を投げたんやけど、外国人選手にきっちりタイムリーを打たれてしまった。

 そしたら、ベンチへ帰ってから、親父がえらい怒っとる。

 「なんで、ボールを投げないんだ?」

 オレも若かったから、カチンときてね。思わず言い返した。

 「オレはボール球を投げましたよ!」

 「バカ野郎! あそこでヒットを打たれるということは、あの選手にとってあそこはストライクなんだよ!」

 「いや、ボールはボールです!」

 「お前は、まだ分からんのか!」

 最終的には30分ぐらい、ずっとオレは説教を食らった。結局、その時は腹を立てたまま終わったけれど、現役時代の終盤になって本当に理解できるようになった。要は、どんなに良い球を投げようが、ヒットを打たれたら結果は負けということ。本当にいろんなことを学ばせてもらったね。

 2年間のダイエー監督生活で1年目こそ最下位やったけど、当時万年最下位争いをしていたチームが2年目は優勝争いにまで加わることができた。最後は4位やったけどね。その後に訪れたダイエーの黄金期。オレは間違いなく、根本の親父が土台を築いたと思っている。

[ 2014年9月29日 ]

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