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打撃投手と一緒…「カッコ悪い」からって大事なこと嫌がっちゃダメ

 どうも〜。スポニチアネックス読者のみなさん、1週間のご無沙汰です。下柳です。

 8月の声を聞いて、いよいよ本格的な夏到来ですな。6日からは夏の甲子園が開幕。今年は高校野球100周年という節目の年やし、例年以上に熱い戦いを期待したいよね。

 さて、今回は現役時代、オレがこだわった練習方法の一つ、打撃投手について書かせてもらうことにしますわ。

 ダイエー時代、当時の根本陸夫監督に言われて、オレは試合前にも打撃投手をやるようになった。このコラムでも何度か紹介してきたけれど、あるとき、こんな言葉をかけられた。

 「おい、何もせずクビになって長崎へ帰るのと、やるだけやって壊れて帰るのとどっちがいいんだ?」

 オレの性格を知り尽くしての言葉やろうね。もちろん、オレは後者を選んだ。

 それからやね。オレが試合前に打撃投手をやるようになったのは。来る日も来る日も投げまくって。それがあったからこそ、あれだけ長く野球をできたと今も思う。

 だからこそ、オレはベテランになってからも打撃投手を拒むことはなかったし、むしろ誰よりも強いこだわりを持っていた。なぜなら、メリットがたくさんあったからね。まずゲーム前にマウンドに立つことができるから、ゲームの感覚、雰囲気を一足先に感じることができる。その分、試合になっても力みや緊張といったものが少なくなるからね。

 それだけやない。打撃投手を何度も何度も務めることで、打者心理を読みながら投げるようになっていった。この練習はバッターに好き放題に打たせるためだけにあるんやない。打者の心理を読んだ上で、力を入れた真っすぐや抜いた真っすぐを投げてみる。変化球を投げるときも同じで、いろいろな工夫をこらしながら打者に向かっていた。

 そのおかげで、オレは他の投手よりも打者のちょっとした動作の違い、狙い球、心理状況を感じられるようになっていった。打撃投手としての練習の積み重ねが、無意識に体にすり込まれていったんやろうね。だから、調子が悪くなるたびに自分から申し出て、打撃投手のマウンドに立たせてもらっとった。

 でも、この打撃投手が持つ価値に、気付いているプロ野球選手は本当に少ない。心の底からもったいないと思う。みなさんも新聞等でよく目にするんやないかな。攻略されたピッチャーのコメントで「打者との感覚を、つかむことができませんでした」とあるのをね。でも、それって、オレに言わせれば「感覚をつかめないなら、打撃投手をたくさんやればエエやん」ってこと。みなさん、そう思いません??

 球界でもある程度、実績を積むと、打撃投手をやりたがらない選手が途端に増えて来る。「カッコ悪い」「照れくさい」というのが理由なんだろうけど。中には「やると調子が悪くなる」という選手までいるからね。

 でも、大切なはずの基本をおろそかにすることほど、もったいないことはない。プライドが邪魔して「カッコ悪い」というよりも、打たれて負ける方がナンボも「カッコ悪い」よね。

 みなさんの社会でも、同じようなことがあるんやないのかな。現場に出ることを嫌がったり、人に教えを請うことをためらったり。年齢や地位が向上するにつれて、体面にこだわり出す人は多い。あなたも、どこかで「カッコ悪い」という理由で、大事なことをおろそかにする人を目撃したことはないだろうか。では、みなさん、また来週会いましょう。

[ 2015年8月3日 ]

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