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阪神の岩崎が130キロ台直球で抑えられる理由を教えます

力投する岩崎
力投する阪神・岩崎
Photo By スポニチ

 スポニチアネックス読者のみなさん、1週間のごぶさたです。どうも、下柳です。だんだんと暑くなってきてますが、体調はいかかですかね?俺はすごぶる元気です!

 ということで、今回は阪神の岩崎投手を取り上げさせてもらいますわ。

 野球ファンの皆さんなら、よう知ってると思うけど、真っすぐは130キロ台やね。ドラフトも国士舘大からの6位入団と決して下馬評は高くなかったけど、新人投手ではただ一人の開幕1軍切符をゲット!これまでに2勝(いずれも中日)を挙げるなど、幸先良いスタートを切った印象がありますな。

 で、多くのファンの皆さんは、その130キロ台の速球で勝ててることを不思議に思っているんやないかな。熱心なファンの方やったら、なおさら感じているやろうけど、その速くはない真っすぐにプロのバッターが差し込まれとる。

 「一体、なんで〜?」

 となるわな。実際、俺の回りでも、よくそんな声を聞く。なので、今回は俺なりの分析を、ここで書かせてもらうことにするわ。

 まず、岩崎は打者との距離をつぶすことができる。つまり、リリースポイントが前なんだ。例えば10センチ打者よりでリリースすることができれば、打者はその10センチ分詰まる。その10センチが投手にとっての大きなアドバンテージになるんや。

 それだけやない。打者目線で言えば、腕が相当見づらいんやないかな。少年時代、水泳をやっとった影響からか、上半身がもの凄く柔らかい印象がある。それによって、腕をずっと体に隠すことが可能になるから、打者からすれば突然、腕が出てくるイメージなんやと思うよ。

 だから、対戦が2回りしている中でも甘い球を打ち損じるケースがよく見られるよな。球も決して速くないけど、さっき書いたように打者が詰まっとる。岩崎なりに工夫して、球離れを遅くするようなフォームづくりをしてきたんやろう。

 今後、改良を加えていくなら、やはり変化球の精度やろうね。現段階ではスライダー、シンカーとも狙ったところに決まる頻度は低い。変化球が決まらなくなれば、打者は真っすぐに絞ることができるから、ピッチングはおのずと苦しくなってしまうわな。

 変化球も、ただ漠然とキャッチャーの構えに投げているだけではダメやからね。カウントを取りにいく球もあれば、ストライクからボールになる誘い球もある。もっと言えばファウルを打たせるために投げるときもあるし、ゴロ、あるいは空振りを取りたいときもあるからね。

 俺の現役時代、矢野とはよくそういう話しをした。「この1球にどんな思いを込めるのか」。そこの意思疎通はこれでもか、というぐらいやっていたし、途中からは矢野の構え、ミットの位置を見ただけで、矢野の配球の意図するところを読み取ることができた。

 たとえば、タイロン・ウッズが打席にいて、初球、矢野が内角高めのスライダーというサインを出してきたとしよう。一般的に「内角高めスライダー」というサインは少ないと思うけど、ここでは確実にファウル、つまりカウントを稼ぐにいくわけ。ウッズのような外国人の場合、リーチが長いから、内角高めが窮屈になる。逆に内角低めはリーチが長いから、バットも届くし、長打になる危険性がある。

 もしかしたら、ファンの方にしてみれば、内角高めへの1球は制球ミスに映っていたのかもしれないけど、しっかり高めを狙って、もっと言えばファウルを打たせるために投げていたというわけ。そういうバッテリー間の心理、背景が分かっていれば、プロ野球ももっと、もっと面白く観戦できるんやろうね。

 岩崎のピッチングスタイルに触れたけど、俺は阪神へ移籍してから投球術ということをよく考えるようになった。

 簡単に言えば、真っすぐも、フォークも、、スライダーも、シュートもすべて同じフォームで投げる。腕の振り、出所を全部一緒にするということやね。

 2011年のオフやったかな。鳴尾浜で動作解析を専門家に依頼したことがあった。その結果、真っすぐも変化球も、全てが同じフォームで投げられていることが分かった。

 変化球だからと言って腕の振りが緩んでしまうと、それだけでプロのバッターには見破られてしまうからね。

 「シモはフォークの時の方が、真っすぐよりも腕が振れていた」

 矢野がそう評してくれいたけど、だからこそ、バッターには気付かれないし、腕を強く振っていた分、打者は真っすぐと錯覚してしまう。そうなれば、より、フォークが生きてくるわな。

 フォームもそうだけど、オレは緩急とは逆の発想で勝負していた。つまり、どの球種もほぼ同じスピードで投げるということや。

 打者からすれば、途中まではほぼ同じ軌道でボールが来るけど、そこからシュートしたり、スライドすれば…。そら、打ちにくいわな。シュートやスライダーと言えば、全然違う球種に思えるけど、オレの場合はもう、リリースの違いだけ。最後に抜けばシュートだし、最後にボールを切ればスライダーになる。そういう意味で、指先の感覚というのは、すごく大事にしていたよね。

 では、最後に。俺の好きな言葉を、岩崎にも送りたいね。

 「敵を知り、己を知らば、百戦殆(あや)うからず」

 有名な孫子の言葉やね。敵と味方(自分)の実情を熟知していれば、百回戦っても負けることはない――。岩崎には人にはない長所がある。その上でどこを改善すべきなのか、ということをよくよく理解して、日々の練習に取り組んでもらいたいね。 

[ 2014年5月26日 ]

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