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究極の集中状態「ゾーン」 見るともなく全体を見るイメージ

 1週間のご無沙汰です。スポニチアネックス読者のみなさん、いかがお過ごしですかな? どうも〜下柳です。

 前回の当欄で「藤浪は勝ち続けるんやないかな」と書いたけど、5月27日の楽天戦(甲子園)は期待通りのピッチングをしてくれたよね。勝ち星には恵まれなかったけど、延長10回を投げきって無失点。ムダな力みのない投球フォームで、見事の一言やった。何かコツをつかんだのは間違いないやろうし、阪神が巻き返す上では中心的な存在になってくるやろうね。

 さて、今週は前回少し書きそびれてしまった「ゾーン」に関して、少し掘り下げて書かせてもらうことにしますわ。

 日本ハムの最終年だった2002年の終盤戦、クビになる直前だったオレは2試合の登板機会を与えてもらった。他球団へアピールするためにね。その2試合で、初めて周辺視野の広がりを実感することができた。視野の端っこでとらえた打者の細かな動きを脳が瞬時に判断して、脳がいろいろな情報を送ってくれた。気持ちも冷静そのもの。これが、いわゆる究極の集中状態「ゾーン」に入る上で最も重要な要素ということを後日、知ることになった。

 あるとき、親友である格闘家・桜庭和志選手に「試合では、どこを見ている?」と聞いたことがあった。すると桜庭選手は「ぼーっと全体を見るようにしています」と答えてくれたんや。

 もう少しかみ砕いて説明を加えると、相手の上半身だけを見ていたら逆に足の動きをとらえられなくなるやろう。そうではなく、漠然と相手全体を視野に入れているということやった。そうすることで相手の筋肉の微妙な動きを察知できるようになって、次に向こうが仕掛けてくる攻撃を寸前で気付くんやろうね。

 普通の選手やったら試合となれば緊張もするし、上がってしまうんやろうけど、試合直前の究極の緊張感の中でも、ぼーっと相手選手を見ることができる桜庭選手はやはり、達人と呼ぶことができるわな。

 他には「ボディ・ブレイン」でも紹介させてもらったけれど、沢庵和尚が残したこんな言葉があるんや。

 一枚の葉にとらわれたら、大木全体の葉は見えない。

 一枚の葉にとらわれなければ、大木すべての葉が見えてくる。

 これができるようになれば、千手千眼の観音と同じである。

 つまり、一つのことにとらわれ過ぎると周りが見えなくなるから、全体を見るともなく漠然ととらえてみる。井上雅彦さんの人気漫画「バカボンド」では、沢庵和尚の台詞として「見るともなく全体を見る。それがどうやら“見る”ということだ」と書かれているみたいやね。

 では、最後にちょっとした雑学を書いて、今週を締めくくりましょう。

 何でも「頑張る」という言葉の語源が「目を見張ること」から来たという説があるみたいやね。人間の生理学上、目を見張ってしまうと、どうしても肩に力が入ってしまうよね。最近の詳しい研究結果によれば、プレーの最中に意図的に動作を強くコントロールしようとすると、運動の調和をつかさどっている脳の部位が乱れるらしい。それにより、普段の練習で培ってきたはずのスムーズなバランスが崩れてしまうことが証明された、と。

 その現象を野球に例えれば、野球の漫画でピッチャーが歯を食いしばっている描写があるけど、そうすることで体が固まってしまいぎこちない投球モーションになってしまう。それを防ぐために、オレは意図的に口を半開きの状態にし、あごを緩めて投げることを心がけとった。

 え、秀太事件? あのときだけは歯を食いしばって、グラブを投げたよ(笑)。では、また来週、お会いしましょう。

[ 2015年6月1日 ]

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