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原子力発電所

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写真:海側から撮影した福島第一原発。津波で、海際にあったタンクの多くが消失した=2011年3月24日、福島県大熊町、エア・フォート・サービス提供

海側から撮影した福島第一原発。津波で、海際にあったタンクの多くが消失した=2011年3月24日、福島県大熊町、エア・フォート・サービス提供

解説

原子力発電所とは

 核分裂反応によって生じる熱エネルギーを利用して水を沸かして蒸気をつくり、その蒸気でタービンを回して発電機を動かす。1950年代、軍事技術を転用して開発、実用化された。蒸気を利用して発電するという点では、火力発電と同じだが、燃料に核燃料を使うか、石炭や天然ガスなどを使うかが異なる。世界で運転中の原発は31カ国・地域で約430基。このうち日本は米国、フランスに続いて3番目に多い50基。原発は大量の二酸化炭素を出さないため、火力発電に比べて環境にやさしいとされていたが、2011年3月11日に起きた東日本大震災で福島第一原発が深刻な事故を起こし、見直しの動きも出ている。2012年5月、定期検査のために国内の原発50基すべての発電が42年ぶりに停止したが、同年6月、野田政権は関西電力大飯原発の再稼働を正式に決めた。(朝日新聞デジタル)

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 天然ウランに含まれるウラン235は約0.7%で、残りはほとんど核分裂しないウラン238。普通の原子力発電は、このウラン235の原子が核分裂を起こすときに出る大きな熱を使っている。1グラムのウラン235が出すエネルギーは、石炭なら3トン分、石油なら2千リットル分に匹敵する。

 世界の大半の原発は軽水炉と呼ばれる型式で、ウラン235の濃度を3%ほどまで濃縮した低濃縮ウランを用いる。

 軽水炉には沸騰水型(BWR)と加圧水型(PWR)の2形式がある。水は常圧では100度で沸騰するが、効率よく発電するにはさらに高温が必要であるために、燃料が配置されている炉心を収めた圧力容器内の圧力が高められている。BWRは冷却水を沸騰させて、直接タービンを回して発電。PWRは加圧して冷却水が沸騰しないようになっている。

 原発事故は、大きくレベル0からレベル7までの段階があるが、福島第一原発のケースは、米国スリーマイル島原発事故(1979年)のレベル5を上回り、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故(1986年)と同じ最悪のレベル7となった。

 東日本大震災で事故を起こした東京電力福島第一原発1~4号機(福島県大熊町、計281万2千キロワット)は2012年4月19日、電気事業法に基づき廃止になった。これに伴い、国内にある商業用原発は計54基から50基に減った。2012年5月5日には、国内で唯一稼働していた北海道電力泊原発3号機(北海道泊村、出力91.2万キロワット)が定期検査のため発電を止めた。これで国内の原発50基すべての発電が停止した。全原発が止まるのは1970年以来42年ぶりで、原発が国内の電力を担う「基幹電源」と位置づけられるようになってからは初めて。

 東京電力福島第一原発事故を受け、国内の原発は定期検査ですべて停止していたが、野田政権は2012年6月16日、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働を正式に決めた。関電は再稼働の作業を始め、早ければ3号機が同年7月8日、4号機が7月24日にフル出力に達する見通しだ。

解説文は12年6月18日更新

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