民主党『次の内閣』
ネクスト厚生労働大臣 山井 和則


 政府は、平成26年度診療報酬を全体で0.1%引き上げる方針を固めたが、消費増税に伴う医療機関の仕入れコスト増の補填を差し引けば、実質的には6年ぶりのマイナス改定である。

 民主党政権下の平成22年度には、10年ぶりにプラス改定(ネット)とし、24年度にも引き続きプラス改定としたことで医療崩壊を何とか食い止めた。医療提供体制の充実を図るために今回の改定でも診療報酬を引上げなくてはならなかったところ、実質的なマイナス改定になったことは、過去の政権の診療報酬引き下げが医師不足や地域病院の閉鎖、救急車たらい回しといった医療崩壊を招き、国民の不安を増大させた失敗、教訓を全く活かしていない。

 安倍政権は、社会保障の充実のために消費税を引き上げる一方で、診療報酬を引き下げ、医療の充実を後退させることは、国民との約束違反と受けとめられても仕方がない。復興特別法人税減税廃止の前倒しや国土強靭化と称する公共事業には多大な予算をつぎ込みながら、医療の充実を後退させるという予算配分は到底理解を得られない。

 医療機関の収入のほとんどが診療報酬であるため、診療報酬を下げると、医療従事者の賃金を下げざるを得なくなる。安倍総理は経団連に繰り返し民間企業の賃上げを要請しているのに、自分が事実上賃金を決められる医療従事者の賃金は上げるどころか、下げてしまうのでは、医療従事者への差別であり、全く筋が通らない。これでは、医療従事者の賃金引下げだけでなく、成長産業と期待される医療分野での雇用創出を鈍らせ、景気回復の足を引っ張ることにもなりかねない。

以 上

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