事務総長に法案を提出

 民主、維新の両党は24日、「国民経済および国民生活に重大な影響を及ぼすおそれのある通商に係る交渉に関する情報の提供の促進に関する法律案」(通称・TPP等に関する情報公開法案)を共同で衆院に再提出した。民主党からは、岸本周平(ネクスト農林水産大臣)、玉木雄一郎、佐々木隆博各議員が同席して衆院事務総長に法案を手渡した。

 法案は、国民生活や国民経済に重大な影響を及ぼす通商交渉での政府の国民と国会に対する情報の提供を促進することを目的とするもの。政府は、(1)国会の議決に基づき、通商交渉での交渉状況や関係資料、交渉結果により国民生活や国民経済に及ぼす影響や対策について国民への情報提供に努めなければならない(2)国会に対して、少なくとも月に1回は当該議決により定める常任委員会・特別委員会に交渉の状況などを報告しなければならない(3)国会が必要な報告、記録の提出を求めた時は、国会に対し適切に対応しなくてはならない――としている。加えて、国会は政府からの情報提供を受けるため、適宜秘密会を開催し、そこで提供された資料、政府側答弁を他に漏らすことがないよう、各議員に徹底するよう、議院運営委員会の申し合わせ等を行うとしている。

法案提出後に記者会見に臨む玉木、佐々木、岸本各議員(写真左から)

法案提出後に記者会見に臨む玉木、佐々木、岸本各議員(写真左から)

 提出後の記者会見で、岸本議員は「TPP交渉が佳境に入っているなか、米国議会ではかなり行政府が立法府に対し情報公開をしている、しようとする姿勢を示している一方、日本では立法府と行政府との関係で情報公開が進んでいないとの趣旨によるもの」と法案提出の経緯を説明。「TPPを推進する立場であれ反対する立場であれ、立法府は国民の代表としてきちんとした情報をいただき、判断していくためにも必要な法案だ」とその意義を強調した。

 玉木議員は、米国議会でも23日に大統領に強い通商交渉の権限を委任する貿易促進権限(TPA)法案が可決し、TPPに関する議論が一層盛り上がってきているなか、米国ではTPA法案のなかに全ての議員に対してはフルテキストに対するアクセスを認める条項があると指摘。議会に対する理解を得ながら交渉を進めている米国に対し、日本では「交渉だから何も言えない」と米国並みの情報公開も認められていないとして、政府の姿勢を問題視した。