民主党のTPP対策本部(本部長・郡司彰参院議員)と経済連携調査会(会長・古川元久衆院議員)は13日、TPP協定大筋合意による国内農林水産業に対する影響について意見交換を行うため、徳島県内2カ所でTPP意見交換会を開いた。古川元久TPP対策本部事務局長・経済連携調査会長が講師を務めた。

 徳島市で開かれたセミナーには約100人が参加した。仁木博文党県連代表、党が今夏の参院選で徳島県・高知県選挙区の候補として推薦を決めた大西聡弁護士があいさつした後、古川調査会長は講演で、「守るべきものが守られておらず、攻めるべきものが攻められていない。看板は同じかもしれないが、私たちが考えてきたTPPとは全く違う内容になってしまった」「このような大筋合意内容では、子どもたち、孫たちの将来の不安に答えられるものになっていない。ちゃんと説明ができないようなものであれば、賛成するわけには到底いかない」「自民党が政権に戻った前々回の衆院総選挙では、TPP交渉参加は断固反対と再三訴えながら、大筋合意した途端、今はアベノミクスの切り札だと言っている。不誠実極まりない」「交渉過程や試算の中身をしっかり明らかにしていくということを国会で求めていきたい」などと述べた。

 出席者からは、「国会決議にもある情報公開は、現在、政府からはどのようになされているか」「国民皆保険制度が守られるのか不安だ。今後どうなっていくのか」「アメリカなど他国の承認手続きが終わると、その後、いつ頃経済的な効果が出てくるのか」「県産品を海外に輸出していくためにどのような手立てが可能か」など、さまざまな観点からの質問があり、関心の高さが伺えた。

 大西候補の出身地でもある美馬市脇町で開いた意見交換会には約50人が参加した。出席者からは、「畜産を営んでいる。政府はTPP対策と言っているが、なかなか補助金の獲得が難しい情勢だ。今後どのようにしていけばよいか。」「ISDS条項が導入されるが、国の主権を守れるのか」「現在の食品表示は守られるのか」「賢い消費者を育てていくことも、今後ぜひ進めなければならない政策ではないか」などの質問や意見が相次いだ。

 いずれの会場でも、中身が不透明なTPP協定大筋合意が、地域のどのような影響を及ぼすのか不安の声が続いた。TPP対策本部・経済連携調査会では、引き続き、各地で意見交換会をきめ細かく開催し、出された意見を今後の国会での議論につなげていく考え。

美馬市脇町でも約50人の参加者を前に講演する古川元久会長

美馬市脇町でも約50人の参加者を前に講演する古川元久会長