民主・維新両党は18日、「領域警備法案」「周辺事態法改正案」「PKO法改正案」を共同で衆院に提出した。

 民主党の大島敦、長島昭久、後藤祐一、玉木雄一郎各議員、維新の党の青柳陽一郎、篠原豪、太田和美、高井崇志各議員がそろって衆院事務総長に法案を手渡した。

 領域警備法案は、離島などわが国の領域で武力攻撃に至らない、いわゆる「グレーゾーン事態」が生じたとき、警察機関や自衛隊が適切な役割分担のもとで迅速な対応を可能とするためのもの。海上保安庁が平素から行う警備を補完する必要がある場合に自衛隊が海上警備準備行動を行うことや、領域警備区域を定めた上で、その区域内で治安出動や海上警備行動等に該当する事態が発生した場合には、あらためて個別の閣議決定を要せずに、迅速にこれらの行動が下令できるようにすること等を定めている。

 周辺事態法改正案は、安倍政権の安保法制が周辺事態法から「周辺」の概念をなくしたのに対し、「周辺」の概念を堅持し、自衛隊の海外での活動に歯止めをかけるもの。その一方で、新たな安全保障環境に効果的に対応できるよう、従来は日本領域内でしか認められていなかった補給、修理・整備、医療等の後方支援を公海上でも可能にすることや、周辺事態が発生した場合に日本に向かって退避しようとする邦人等に対して、自衛隊が支援活動を実施できるようにすること等を定めている。

 PKO法改正案は、同法制定時に想定されていた任務の範囲を超える新たなニーズが生じている現状に鑑み、元戦闘集団等の武装解除を行い社会復帰を促すDDR(Disarmament, Demobilization, Reintegration:武装解除・動員解除・社会復帰)や、警察機関などの治安部門の改革であるSSR(Security Sector Reform: 治安部門改革) を行うこと、さらにPKO活動に従事する文民等からの緊急の要請を受けたとき自衛隊が「文民等保護措置」を行うこと等を定めている。

 法案提出後の記者会見で民主党の大島敦政調会長代理は、「わが党の『専守防衛に徹し、近くは現実的に、遠くは抑制的に、人道支援は積極的に』との姿勢を具体化した法案だ」「明日19日に野党5党共同で提出を予定している安倍政権の安保法制を廃止する法案とともに、現実的な安全保障のあり方に関する民主党と維新の党の考え方をしっかり示す必要から法案提出に至った」と経緯を説明した。

PDF「領域警備法案」領域警備法案

PDF「周辺事態法改正案要綱」周辺事態法改正案要綱

PDF「「PKO法改正案要綱」「PKO法改正案要綱

PDF「「領域警備法案」「周辺事態法改正案」「PKO法改正案」の主なポイント」「領域警備法案」「周辺事態法改正案」「PKO法改正案」の主なポイント