岡田克也代表ら党共生社会創造本部のメンバーは2日、豊島子どもWAKUWAKUネットワークが東京・豊島区で運営する「要町あさやけ子ども食堂」を視察。保護者だけでは育てられない子どもへの地域の支援のあり方などについて栗林知絵子理事長らと意見を交わした。
食堂は、店主の山田和夫さんが自宅を開放する形で2013年にオープン。月2回、経済的貧困や親のネグレクト(育児放棄)など、さまざまな事情で十分な食事を取れない子どもたちのためにバランス良く温もりのある食事を1食300円で提供、夕食を共にするとともに、経済的困窮者や孤立者などを発見し、解決に向けた相談や関係機関へつなぐ役割を担っている。
毎回60人分の食事を近所の方々を中心としたボランティアが調理、食材の多くは農家や周辺の食料品店など、活動に賛同した人からの寄付で賄われているという。
子どもたちにとっては2階の部屋に上がっての食後の遊びも楽しみの一つで、母親同士も交流を深め親同士の自助グループもできている。
同ネットワークは、地域の子どもを地域で見守り地域で育てることをコンセプトに12年に設立。教育の格差が拡大し貧困の連鎖が広がるなか、子ども食堂をはじめ無料学習支援や「池袋本町プレーパーク(※)」(15年度に区からの受託事業に)など、地域の子どもや貧困で孤立する家庭への支援に複合的に取り組んでいる。
厚生労働省が14年7月にまとめた「国民生活基礎調査」によると、日本の子どもの貧困率は16・3%で過去最悪を更新。子どもの6人に1人が貧困状況で、1人親など大人が1人の家庭に限ると54・6%と先進国中最悪の水準にある。「子どもの貧困」「孤食」が問題になるなか、子どもたちに無料または格安で食事を提供する子ども食堂は全国的に広がっている。同食堂にも子どもの貧困問題に関心を持つ人など全国から見学に訪れる人が後を絶たないという。子ども食堂同士の交流も進み、首都圏では今年4月、子ども食堂が集まって「こども食堂ネットワーク」を設立、子ども食堂を作りたい人向けの説明会などを行っている。
安心して暮らせる地域コミュニティを
栗林理事長は、現在「子ども食堂」が豊島区内に3カ所、都内では約30カ所開設されているなどと説明。「地域のつながりや町のつながりが生まれていく、そんな活動が各地で増えていけばいい」と話す。「地域が寄り添い、親がしんどかったら地域がサポートできる学習支援や、子どもの遊ぶ権利、学ぶ権利、食べて寝る、安心して暮らせる権利を地域で守っていきたい。小さい頃から顔見知りの関係になっておくと、地域で知っている大人、信頼できる大人にSOSを発信できると思うし、大人も声をかけやすい。貧困の連鎖は、子どもが小さければ小さいほど断ち切りやすいので、そこでどれだけ地域の大人が関われるかが重要だ」と語り、さまざまな支援を通じて子どもがSOSを発しやすく、第三者が関われるプラットフォームにしていきたいと今後を見据えた。
岡田代表は視察後、「格差社会、貧困の拡大が言われるなかで、子どもたちやその保護者の方も含めて、地域がしっかり支えていこうという流れを、大きな流れにしなければならないとあらためて感じた」と語った。
貧困の連鎖根絶に向けた取り組みを推進
悪化の一途をたどる子どもの貧困問題をめぐっては、国も積極的に取り組もうと、13年に民主党をはじめ超党派の議員立法により「子どもの貧困対策の推進に関する法律(子どもの貧困対策法)」が成立(14年1月施行)。14年8月には具体的な対策を定めた大綱が閣議決定されたが、経済的支援策が不十分で、貧困率改善の数値目標もなく、安倍政権は本気度に欠けるとの指摘もある。
子どもの貧困対策として要望が多い児童扶養手当や返済不要の給付型奨学金の拡充は十分ではなく、児童扶養手当について栗林理事長は、「第2子5千円、第3子3千円は少な過ぎる」と指摘。子ども食堂に来ていたシングルマザーの女性も「第2子5千円は少ない」「18歳までの年齢要件を20歳までに延長して、望めば子どもが専門学校や大学などに進学できるようにしてほしい」と訴えた。 民主党は児童扶養手当の充実に取り組むとともに、高校授業料無償化制度に安倍政権が導入した所得制限の撤廃、大学など高等教育での授業料の減免、奨学金制度の拡充と返済の必要のない「給付型奨学金」の創設を通じて、経済的理由で学びをあきらめることのない社会の実現を目指す。
(※)「自分の責任で自由に遊べる」空間づくりを目指して、地域や子どもたちとともに活動。泥んこ遊び・木登り・虫取りなど子どもたちが自由に生き生き遊べる空間
(プレス民主365号 12月18日号より)