2月24日に始まったロシア軍によるウクライナ侵略は、民間人に対する数々の虐殺行為をはじめ、核兵器の使用をちらつかせながらの攻撃など世界が驚嘆する事態を生み出し続けている。そのため、ロシア批判はもちろん、プーチン大統領を戦争犯罪人と糾弾する声もますます大きくなっている。
今回の戦争について、ウクライナとロシアの関係やその歴史を知る上で、格好の実話映画を紹介しよう。1932~33年にかけ、ソ連がウクライナ全土から穀物を収奪し、意図的に大飢饉(ききん)を生み出したホロドモールを描いた「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」(2019年)。つい3年前の作品で、制作国がポーランド、ウクライナ、イギリスの3カ国。いまだに共産中国のチャイナマネーの呪縛から抜け出せずにいるハリウッドでは、とてもつくることのできない映画である。
舞台は33年、英国人記者のガレス・ジョーンズは、世界恐慌の中でソ連だけが好景気にある謎を解き明かすため、ソ連に赴き、当局の監視の目をくぐり抜け、ウクライナに潜入する。そこで彼が見たものは、まさしくこの世の地獄だった。