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【黒田尚嗣 世界遺産旅行講座】自然と触れ合える文化遺産「英国の湖水地方」 自然と人間の営みが調和した「ピーター・ラビット」の舞台 (1/2ページ)

 先日訪れた長野県の白樺リゾート「池の平ホテル&リゾーツ」では、「ピーター・ラビット5つの物語」と題したイベントが開催されていました。作者であるビアトリス・ポターは、この『ピーター・ラビットのおはなし』で、白樺湖の風景に似た英国の湖水地方を世界中の人々に紹介した人です。

 英国の湖水地方とは、詩人トーマス・グレイやウィリアム・ワーズワースが愛した、氷河の浸食によってできた「レイク・ディストリクト」と呼ばれる風光明媚(めいび)な地域で、ビアトリクス・ポターが実際に住んだコテージの「ヒル・トップ」は、その湖水地方にあるニア・ソーリー村に位置しており、『こねこのトムのおはなし』などに挿入された絵柄と同じ風景が今も残っています。

 湖水地方の中心地はウィンダミアですが、その町の名のもとになった湖水地方最大のウィンダミア湖とその西方のコニストン湖の間にあるホークスヘッド村には、ポターの遺品や写真などが展示された「ビアトリクス・ポター・ギャラリー」もあります。

 湖水地方で過ごすようになったポターは、自然環境保護運動と「ナショナル・トラスト」の生みの親であるローンズリー牧師と知り合いました。「ナョナル・トラスト」とは、1895年に発足した民間の非営利団体で、正式名称は、「歴史的名所や自然的景勝地のためのナショナル・トラスト」と呼ばれており、彼女の遺産を含む歴史的建造物はもちろん、イギリス国内の著名な庭園や自然保護地区などがナショナル・トラストの所有になっています。

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