4年前、初主演し、映画賞を総なめにした「菊とギロチン」(瀬々敬久監督)では、大正時代に実在した女相撲の力士を体当たりで熱演し、邦画界をにぎわした。
「大学の相撲部に毎日通って、四股やてっぽうなど多くの相撲の技術を教えてもらったんです。たくさんけがもしたけど貴重な体験でしたね」
高校時代、新体操の選手として活躍した〝体育会系〟らしい、はつらつとした笑顔を弾かせる。
撮影前の準備は修業のような作業が続く。だが、その苦労も「これまで知らなかった世界を学ぶチャンスを与えてくれるので。だから女優は楽しいです」と目を輝かせる。
公開中の新作映画「わたし達はおとな」(加藤拓也監督)で演じるヒロインももちろん、体当たり。
「映画やドラマなどフィクションの中では、女優として思い切り噓をつく。だからこそ、日常の生活の中ではできるだけ噓をつかないよう心がけてます(笑)」
今作では女優だからこそ味わえるその嘘を十二分に発揮した。
大学生の優実(木竜)は劇団員の直哉(藤原季節)と交際を始める。直哉は将来、自分の劇団を持ちたいと考えていた。そんな彼に優美は妊娠したことを告げるが…。
コンセプトはノット・ヒロイン・ムービー。描かれるのは輝く女性ではない。人生に悩み葛藤する等身大の女子大生だ。
「試写を見ていて、『一体、誰なのか』と思えるほど自分でも見たことのない顔、そして聞いたことのない声だったので驚きました」。恋人のけんかを隣でじかに見ているかのような臨場感に圧倒される。