民主党は22日夕、「次の内閣」会議を国会内で開き、共生社会創造本部の最終取りまとめである「能力の発揮を阻む“格差の壁”を打ち破り、支え合う力を育む―公正な分配なくして持続可能な成長なし」「共生社会創造に向けた民主党11の提案(共生イレブン)案」を了承した。

 岡田克也代表は、最終とりまとめについて「『1億総活躍社会』という安倍政権の言葉自体もわれわれの『共生社会』を念頭に置いてかぶせてきたと思う。1年間かけて議論し、多くの関係者の皆様の意見を聞き、良い報告ができた。共生社会の考え方は、新党綱領の(結党理念である)「自由」「共生」「未来への責任」のど真ん中にあり、これからの新党の基本的考え方になる」と力を込めた。

長妻昭代表代行

長妻昭代表代行

 長妻昭代表代行は、高齢者や障害者など支えられる側が人口比で相当増え、支える現役の側がつぶれてしまうのではないかという文脈で日本の危機が語られるが、支えられる側が無理のない範囲で支える側にまわり、支え合えれば社会の持続可能性が高まると指摘。そうした共生社会づくりを阻んでいる「教育格差」「雇用格差」「男女格差」の3大格差の壁を打ち破るために11の政策提案を最終取りまとめに結実させたと説明した。


共生社会創造に向けた民主党11の提案(共生イレブン)

教育格差の壁を打ち破る――「子どもの貧困」と戦う

(1)児童扶養手当の大幅拡充

(2)渡しきり(給付型)奨学金の創設

雇用格差の壁を打ち破る

(3)有期雇用の入り口規制を導入する

(4)最低賃金を引き上げる

(5)介護職・保育職の待遇を改善する

(6)社会保険の適用拡大

男女格差の壁を打ち破る

(7)「同一価値労働同一賃金」の法定化

(8)選択的夫婦別姓を実現する

(9)低年金者に対する支援

長時間労働の壁を打ち破る

(10)労働時間規制の強化・インターバル(休息)規制の導入

“格差の壁”を打ち破るための財源

(11)金融所得課税の引き上げ

PDF「共生社会創造本部最終取りまとめ」共生社会創造本部最終取りまとめ

PDF「共生社会創造に向けた民主党11の提案」共生社会創造に向けた民主党11の提案

PDF「共生社会創造に向けた民主党11の提案 説明資料」共生社会創造に向けた民主党11の提案 説明資料

 会議ではこのほか、「保育等従業者の人材確保等に関する特別措置法案」(保育士等処遇改善法案)、「政官接触記録の作成等に関する法律案」(仮称)を了承した。「児童通学安全確保対策の推進に関する法律案(仮称)」、超党派議員立法「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律案(仮称)」(フリースクール、夜間中学支援拡充)の議員立法登録を了承した。また、「整備新幹線に関する考え方」について協議し、最終的な対応を政策調査会長に一任した。

 続いて政府提出案件の審査を行った。「国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律及び公職選挙法の一部を改正する法律案」については修正を実現したために賛成することとなった。「サイバーセキュリティ基本法及び情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律案」については賛成の方向で部門会議共同座長に一任となった。政策調査会長らに一任されていた「地域再生法の一部を改正する法律案」については反対する旨の報告があった。

 政策調査会役員会が審査した閣法並びに条約について報告があった。(1)「漁業経営に関する補償制度の改善のための漁船損害等補償法及び漁業災害補償法の一部を改正する等の法律案」(2)「戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法及び戦没者等の妻に対する特別給付法の一部を改正する法律案」(3)「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律の一部を改正する法律案」(4)「海上交通安全法等の一部を改正する法律案」――の4法案に賛成、(5)「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案」については部門会議共同座長に一任、(6)「日・カンボジア航空協定」(7)「日・ラオス航空協定」(8)「日・イラン受刑者移送条約」(9)「日・オマーン投資協定」(10)「日・イラン投資協定」(11)「日・ドイツ租税協定」(12)「日・チリ租税協定」(13)「日・インド租税条約改正議定書」(14)「日・フィリピン社会保障協定」――の9条約を賛成の方向で部門会議共同座長に一任した。