参院決算委員会で質問に立つ尾立議員

 2012年度決算の全般質疑が31日に参院決算委員会で行われ、民主党の1番手として尾立源幸議員が(1)小松法制局長官の適性や病気治療のための国会欠席問題(2)NHK籾井会長が引き起こした一連の騒動と経営委員会の監督責任(3)インフラの老朽化対策と公会計整備の必要――などを取り上げて質問した。

 小松法制局長官をめぐる問題では、尾立議員は集団的自衛権をめぐる憲法解釈と憲法改正の違いについて質問する予定だったが、事前の質問通告に対して小松長官側から毎週月曜日は病気治療のため国会に出席できないと通告の取り消しを求められたことを明らかにし、「病気の治療は人道上の問題」と述べたうえで小松長官が決算委員会に出てきて職責を果たすことができない事態を問題視。これまでの度重なる答弁の間違い、場外で野党議員と口論するなどカッとなりやすい性格なども併せて指摘し、法制局長官を辞して治療に専念すべきではないかと述べて安倍総理の所感をただした。これに対して安倍総理が「決算委員会に関係ない」「この委員会では決算の議論をすべきだ」と問われた内容についての答弁を拒んだことから委員会質疑が紛糾し中断。委員長が「従来から関連した内容の質問も認めている」と安倍総理を諭し、尾立議員も「都合が悪いことは聞くなという政権の態度の表れだ」と安倍総理の姿勢を批判した。

参院決算委員会の質疑のようす

 NHK籾井会長が引き起した一連の騒動をめぐっては、特に会長就任直後に理事全員から日付のない辞表を提出させ、国会で問われると「一般社会ではよくあること」と開き直った問題について、「こんな前近代的なリーダーシップの取り方は呆れてものが言えない」と前置きし、籾井会長自身がいつどこでそのような経験したのかとただした。籾井会長は「具体的な事例はあるがここで答えることは差し控える」と答弁。尾立議員が「個別企業名を言えないなら、いつ頃、何例あるのか」と質問を変え、委員長が答弁を促しても答弁拒否を続け、委員会質疑が度々中断。「このような人物がNHK会長にふさわしいのか」と問われた安倍総理は「会長は放送法の規定に則り経営委員会の議決に基づいて選任された。責務を遂行することを期待している」などと繰り返すにとどまった。尾立議員は、NHK会長が勤務時間の相当部分を国会答弁に追われていることを「NHK本体にとってもよくない。われわれも大事な時間をあなたに費やすことは良くない」と述べ、籾井会長の即刻辞任を強く求めた。

 インフラの老朽化対策では、高速道路上に高速道路会社が設置して地元自治体が管理することになっている跨道橋について、会計検査院がずさんな管理状況にあると指摘したことを取り上げた。会計検査院が検査対象にした4484の跨道橋のうち350では地元自治体との管理協定も締結されず、管理者による点検を実施していないもの635、点検実施状況不明のもの548などといった現状をあらためて答弁で確認し、「こうしたずさんな管理になっているのは国の会計が現金主義・単式簿記だったから。こういうことをしっかり明らかにする公会計が国にも地方にも必要だ。ぜひ発生主義・複式簿記を導入すべき」と訴えた。新藤総務大臣は「とても大切な指摘だ」と答えたが、麻生財務大臣は「2003年度の決算から国の財務諸表を公開しているが、道路などを大昔にいくらで取得したかは分からない。この作業は膨大で、費用対効果から慎重な対応が必要だ。日々の修繕の方が大事だ」などと消極的な姿勢を見せた。

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