民主党訪中団・若手議員団 南開大学視察、天津市幹部と意見交換を行う

 民主党訪中団・若手議員団は14日、中国天津市を訪問し、南開大学を視察するとともに、天津市の幹部と意見交換を行った。日程には、副団長の後藤祐一国際局副局長をはじめ、事務局長の津村啓介青年委員長、事務局次長の大西健介青年委員長代理、団員として、小山有彦・東京都議会議員、落合誠記・壬生町議会議員、田中健・東京都議会議員、下田寛・鳥栖市議会議員、中村延子・中野区議会議員、福嶋あずさ・いわき市議会議員が参加した。

周恩来元首相の像を視察

周恩来元首相の像を視察

 天津市に入った若手議員団は、周恩来、温家宝両元首相(総理)の母校であり、中国でトップ5に入る著名な大学といわれる南開大学を訪問。周恩来元首相の像を視察した後、大学内にある日本研究院で南開大学の関乃佳副学長と南開大学日本研究院の宋志勇院長の出迎えを受け、意見交換を行った。

 王凱博士からの説明によると、大学は1919年に創立。以前は私立大学だったが、現在は国立大学となり、教員数約2千人、学生2万4千人、その半数が大学院生。また4万人ほどが生涯教育を受けている。中国国内でも屈指の規模を誇る日本専門の研究機関で、35以上の日本の大学と学術交流、留学生交流が行われている。日本研究院の建物は、国際交流基金から資金の協力を受けて建設された。

 宋志勇院長は、これまで自民党や公明党議員の訪問はあったが民主党議員団の訪問は少なかったとして、「来ていただいてうれしい。これからも交流を続けていきたい」と歓迎の意を示した。創立時には日本の大学をモデルにしようと早稲田大学などで学んだ経緯が語られ、「日本との関わりが深い大学だったが、27年の日中戦争の際に、学生の抗日運動の拠点と思われて爆撃された。しかし、日中国交正常化以降、中国の大学のなかで一番早く日本の大学と交流を始めた。80年愛知大学と姉妹大学、翌年は早稲田大学と交流協定を結び、今では早稲田大学や東京大学など、日本の大学と交流している」「88年日本研究センターからスタートし、2003年に日本研究院になった」と説明。日中関係について「研究者の力は弱いが、政治家の主導で日中関係を改善していくよう期待している。民主党の先生方よろしくお願いします」と期待を寄せた。

民主党への理解を深めてもらうため民主党ハンドブック2014を手渡す後藤副団長

民主党への理解を深めてもらうため「民主党ハンドブック2014」を手渡す後藤副団長

 若手議員団を代表しては後藤副団長があいさつに立ち、2006年に民主党と中国共産党との間で設置された「交流協議機構」の活動の一環で訪問したことを説明。同機構の活動の一つとして、民主党が中国側から留学生を日本に受けいれる段取りを進めていると表明。「日中関係は厳しいが政治家と中国の研究者が交流することが相互理解を深めるうえで重要であり、宋先生から研究者には力がないと発言があったが、複眼的に日本を見ていただければと思う」と述べた。「民主党と自民党では相当中国との関係において考え方が違う。国と地方も、政治と行政、経済も違うが、もう少し中国との関係を改善できないかとの声がある。こういった場を通じてもっと相互理解を深めていきたい」とも述べ、今後のさらなる交流を求めた。

天津市委員会常務委員・崔津渡筆頭副市長をはじめ天津市幹部と会談

 続いて、天津市委員会常務委員・崔津渡(さい・しんと)筆頭副市長をはじめとする天津市幹部と会談した。崔筆頭副市長が「中国は改革開放以来、経済、社会、国民生活のさまざまな分野において大きな進歩があった。さらに、共産党第18回党大会において、中華民族の偉大な復興という中国の夢を提唱した」と発言。「この30数年の発展に伴い、2013年のGDPは1人あたり6700ドルになった。中国経済は2008年の国際金融危機が発生して以来、中国は適切な対応策に取り組んで経済の安定的かつ健全的な発展を遂げた。昨年および今年の第一四半期GDP成長率は7%以上を保った。いくつかの問題も抱えているが、中国経済の成り行きに強い自信を持っている」とも述べた。

崔津渡筆頭副市長と意見を交わす後藤副団長

崔津渡筆頭副市長と意見を交わす後藤副団長

 天津市の概要について、05年に中央政府が「天津濱海新区」解放と発展を促す、という案が提出されたとの説明があり、今年2月には習金平国家主席が談話で、北京、天津、河北省の統合的発展を促すという戦略的な政策が打ち出され、申請している中国・天津自由貿易区が許可されれば、天津の発展に促進力がわいてくるとの説明があった。06年から13年の天津市の年平均GDP成長率は15.4%。GDP総額は06年の4500億人民元から13年の14700億人民元になり、天津市民の1人あたりGDPは10万人民元(1万7千ドル)で中国トップだった。天津市は中国経済のあらゆる部分が集まっており、20年にGDP総額は3兆人民元、1人あたり3万ドルになる見込み。神戸市と姉妹都市関係にあることをはじめ、経済分野でトヨタ自動車、金融分野でみずほ銀行などが天津市に支店を出していること、また、省エネと環境保全分野での日本の取り組みを参考にしていること等が語られ、「日本は潜在力も大きいので、これからもさらに各分野における協力を推し進めたい」との発言があった。

 あいさつに立った後藤副団長は「民主党は1998年の結党以来、日本と中国の関係が大切だと考えて、民主党と中国共産党との党間交流を進めてきた。現在の日中関係は両国が目指した関係ではなく、残念な状況。われわれはもちろん日本人のほとんどが残念に思っている。こういう時だからこそ、日中両方の若い政治家が交流を図ることが将来に渡って関係改善に進むものである」「発展計画について伺ったが、省エネ、環境分野はかなりの程度日本から支援ができる」「自由貿易区の申請をするとのことだが、私は経済産業省で特区をつくった人間だ。私が発案した特区は、元々はシンセンをはじめとした特区をモデルにつくった」「経済、文化、スポーツ、環境など多方面で関係を深めていくことが大切。すべての前提は両国関係がより改善していくことであり、民主党がもう少し日本国内で政治的な力があればもっと両国の関係も改善していくと確信している」などと語った。 

 崔筆頭副市長は「両国による国民レベルの友好を深め協力を強めたい、とのことに賛同する。今日は両国の関係を深める基盤ができた」とした。