民主党は22日午後、経済連携調査会の第1回会合を国会内で開き、TPP交渉の大筋合意の内容について関係省庁から説明を聞いた。調査会の役員構成について同調査会事務局長の岸本周平衆院議員が提案し、拍手で了承された(PDFダウンロード参照)。

 古川元久調査会長は冒頭のあいさつで、「わが党はTPPに限らず高いレベルの経済連携を推進していく立場だが、安倍総理が『守るべきものは守り、攻めるべきは攻める』と言った今回の合意は、守るべきところが守られていない、攻めるべきところが攻められていない内容だ。また、衆参農水委員会の国会決議を守っているとは言えない内容でもある」と批判した。

古川元久調査会長あいさつ

 政府・与党が情報開示に極めて消極的なことから、「ここはしっかり情報を開示していただいて、国会の場できちんと議論をし、国民の皆さんに説明していくことが重要だ。特に今回の合意内容については、農業者の皆さんを中心に不安の声が広がっている。私たちはそうした声に耳を傾けて政府に問いただしていくために、党を挙げて頑張っていきたい」と述べた。

 合意内容についての関係省庁の担当者の説明では、関税「撤廃」という文言が繰り返されるだけで、国内経済への影響などには言及がなかった。質疑応答では「私たちが知りたいのは、国益に沿うのかということだ。経済的なプラスとマイナスを教えて欲しい」「関税が撤廃されることで、個別の品目の輸出量はどう変化すると見込んでいるのか」などの質問が出された。

 こうした質問に対し、例えば安倍総理が「世界の茶どころに」と言い立てた「茶」の輸出増がどれだけ見込まれるかと言えば、米国ではすでに無税となっていて効果はなく、関税20%のメキシコが即時撤廃となるが、現在のメキシコへの茶の輸出実績はゼロであるなど、関税撤廃がそれほど大きなメリットと見込まれないことが明らかになった。一方、豪州への日本産牛肉の輸出については「現在、解禁要請をしているところ」との答弁で、今回の合意だけでは豪州に輸出できないことも判明した。

 これらの担当者の答弁に、「安倍総理は『TPP合意は私たちの生活を豊かにする』と言ったが、その根拠は何か。メリットを受ける人とそうではない人がいるのに、なぜこういう発言ができたのか」「甘利大臣は(交渉の)行司役に徹し、何一つ攻めていない。これだけ譲ったのに、何も勝ち取っていないではないか」などの厳しい声が相次いだ。

 調査会としては、今回の議論を皮切りに引き続き関係各省庁等からヒアリングを行い、合意の経済的な影響などについて議論を深めていく予定。

PDF「経済連携調査会役員名簿」経済連携調査会役員名簿

会議終了後に党宮崎県連が古川調査会長に要望書を提出(左から岸本事務局長、古川調査会長、田口雄二県連代表、渡辺創県連幹事長)

会議終了後に党宮崎県連が古川調査会長に要望書を提出(左から岸本事務局長、古川調査会長、田口雄二県連代表、渡辺創県連幹事長)