2年連続でリーグ優勝を逃した巨人。3年契約で続投した原辰徳監督(64)は今季、「育成と発掘」を掲げて臨んだものの、主力が高齢化して過渡期を迎えたチームの世代交代は思うように進まなかった。これまで常勝軍団を率いて通算16年の名将に3年連続のV逸はなく、覇権奪回が至上命題となる来季に向け、投打の大物獲得へ着々と手を打っている。本紙既報通り、国内FA市場をにらんで西武・森友哉捕手(27)の調査を本格化させる一方、米球界で苦闘を続ける筒香嘉智外野手(30)、有原航平投手(30)の〝Jターン補強〟を画策中だ。 (片岡将)
◇
「毎回毎回ね、どういう結果であってもファイティングポーズをとって集中して戦いたい」
2年連続のV逸決定から一夜明けた19日、DeNA戦(東京ドーム)に快勝した原監督はそう話した。クライマックスシリーズ(CS)への自力進出、その先にある2012年以来の日本一への扉はまだ閉じていない。
一方で、原監督にとっては第2次政権初年度の06年以来、16年ぶり2度目のBクラスを回避するための戦いに忸怩たる思いもあり、「ふがいない戦い方があったから、こういうふうな状況になっている」と嘆く。やはりリーグ優勝から日本一に輝いて初めて、覇権を奪回したと宣言できるのが巨人という球団なのだ。
球団幹部は「いまウチは過渡期。育成だけでは勝てないことは今年はっきりした。選手が育ってくるまでの時間を補強でつなぐということ」と語り、今オフの戦力拡充へ備えを進める。阿部慎之助作戦兼ディフェンスチーフコーチ(43)以来の打てる捕手を補強ポイントに挙げ、FA権行使が有力な19年パ・リーグ首位打者の森に5年20億円超の大型契約を用意。対抗馬のオリックスの提示は4年契約とされ、条件面では優位に立っている。