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アラサー3人の盃で不穏な人間模様を描く 第167回芥川賞作家・高瀬隼子さん『おいしいごはんが食べられますように』1/3ページ

高瀬隼子さん(写真・嶋田礼奈/ 講談社)
高瀬隼子さん(写真・嶋田礼奈/ 講談社)

二度目の候補作で第167回芥川賞を受賞した高瀬隼子さん。子供の頃から小説家になりたいと執筆活動を続けてきた。事務職と二足のわらじを履く新芥川賞作家と作品はいかにして生まれたのか。 文・竹縄昌

――受賞決定から忙しかったのでは

「依頼されたエッセイは勤めながら夜に書いていたので、昼休みに仮眠を取ったり、仕事でミスをすると芥川賞のせいになってしまうと思って、いつも以上にちゃんとミスがないようにという気負いがありましたね」

高瀬隼子さん『おいしいごはんが食べられますように』
高瀬隼子さん『おいしいごはんが食べられますように』

――幼稚園のころから物語を創ってきた

「そのころは、テレビや絵本で見聞きしたものの模倣でした。小学生の3、4年生にはセミ、スイカ、犬や海山川と目に入ったものから始まる物語になりました」

――小説家になりたいと思ったのは

「小学生の低学年かもしれません。最初は、小説家と物語が結びつかなかったんです。星新一さんのショートショートが好きで、本に〝星新一〟と名前が書いてあって、やっと物語はその名前の作者、小説家が書いているんだとわかったんです」

――成長とともに作風は変わってきた

「小5の時、一人称じゃない小説を書きましたが、やはり中学校ぐらいまでは、自分の目についたものを書いていました。高校になると、友人関係とか恋愛のこととか、自分の心が感じていることからスタートして、なぜ悩んでいるだろう、という人に言えないことを、小説にすることで対話して心のバランスを取っていたのかもしれません」

――高校で文芸部に入り大学でも

「はい、大学では入学してすぐに自分に合いそうなサークルを探して入りました。とても刺激になりました。高校の部活は趣味の一つという雰囲気でしたが、大学で出会った人たちは本気で小説のことを考えていました。新人賞に応募したり、商業出版じゃなく純粋に書くことを追究すべきという先輩もいましたね」

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