発注先探しの業務効率化・質向上を実現。業界企業が語るビジネスマッチングサービスの価値とは

 「リモートワークに対応するため、社内にシステムを構築しなければならなくなった」「リアル会場の展示会の代わりに、デジタルマーケティングに力を入れることになった」「新規プロジェクトのサイトを急いで作らなければならない」。

 ここに挙げた例のように、外部企業に発注する必要が生じた際、発注先企業を探すのに苦労した経験を持つビジネスパーソンもいるのではないだろうか。今も昔も変わらない課題は「どこに発注すべきかわからない」だ。

 発注先を探す担当者に、案件に適した企業を紹介、両社の橋渡しとなるサービスがビジネスマッチングサービスだ。この記事では、まだまだ認知度の低い同サービスの特徴や利用メリットについて、『ビジネスマッチングエージェントReady Crew(レディくる)』を提供するフロンティア株式会社取締役 雨宮慎吾さん、同サービスの元コンシェルジュであり、現カスタマーサクセス部の立川せりかさんにお話をうかがった。

雨宮慎吾さん

フロンティア株式会社取締役 雨宮慎吾さん

雨宮慎吾さん

カスタマーサクセス部 立川せりかさん

企業の発注先探しを手助けする「ビジネスマッチングサービス」とは

ビジネスマッチング図

 雨宮さんは、ビジネスマッチングサービスの仕組みについて「特別新しいものではない」と説明する。銀行員や保険外交員による企業の紹介など、ビジネスマッチングに該当するものは昔から存在しているためだ。

 インターネットの発達に伴い、自社HPを有する企業が増加。これにより、発注先探しにWeb検索という手段ができた。しかし、それで発注先探しの課題が解決したわけではない。フロンティアの調査によると、Web検索でWeb制作会社を選定した際、その結果に「かなり満足できた」と答えた割合は約3割ほどに留まった*1。数多ある企業HPの中から自社のニーズに見合った発注先を探すことは難しく、同調査には「担当者の知識量や理解度がわからない」「信用できる企業か判断できない」といった回答*2が寄せられている。

アンケート図:あなたは、どのようなWeb制作案件で発注しましたか。 アンケート図:『Web検索』での発注先選定を行った際に、課題として感じたものがあれば、教えてください

 コロナ以前であれば対面による商談を行なうことができたため、Web以外でも情報を得る手段はあったが、コロナ以後は対面商談のハードルが上がり、一次情報が不足。デジタル化の流れによりWeb上の情報量はさらに増え、探しにくさ・選びにくさにつながっている。こうした状況に加え、雨宮さんは発注したい案件の専門化も探しにくさの要因の一つだと説明する。

 「例えば、DX化のミッションを会社から課されたが、その担当者がDXに明るくない場合、発注先を見定めることは難しい。知識のない他部署の採用面接をするようなものであり、本当に自社が求めているスキルがあるのか、ニーズに見合っているのかがわからないといった不安があるのです」

 ビジネスマッチングサービスを使えば、自社のニーズに合った受注候補先を絞ってもらえるため、効率的に受注に至れるのだ。

人が介在することで企業の発注先探しの効率化・マッチング精度を向上

 Ready Crewは営業支援サービスとして立ち上げられたサービスだ。ビジネスマッチングを行うようになったのは、営業支援サービスを利用する顧客企業から寄せられる細かな要望が増えてきたためだという。

 「ある特定の領域が得意なWebサイト制作会社を紹介してほしい、これまでの受注先の規模では対応しきれない大型案件を任せられる先を探しているなどといったお声に個別に対応するなかで、サービス化した方がより円滑に情報を提供でき、お客様の役に立てるだろうと考えたのです」(雨宮さん)

 Ready Crewの大きな特徴は、マッチングに人が介在することにある。Web上に受注可能な企業のデータベースを作り、発注先を探す企業が条件検索をするのではなく、コンシェルジュが企業側のニーズをヒアリングし、受注先候補を提示するというスタイルを採っているのだ。

 コンシェルジュとして多くの企業と企業をマッチングさせてきた立川さんは、自身がヒアリングするときに重視しているポイントを次のように語る。「納期がタイトな案件が多いのか、正直なところ無茶ぶりが多いのか、依頼内容を自社で詰めた上で発注するのか、漠然としたところから一緒に決めていきたいのかなど、細かなご要望、発注時のスタイルまでお聞きするようにしています。受注先の候補となる企業様にも実績や得手不得手をヒアリングしているため、発注先の細かいニーズにマッチする企業をご紹介できるんです」

 また、Ready Crewではコスト・スキル・スケジュールといったわかりやすい条件だけではなく、担当者同士の相性も考慮している。同社の調査*3によると、外部パートナーと共同プロジェクトを行った際、担当者との意思疎通が上手くいかなかったと感じているビジネスパーソンは回答者のおよそ半数。

アンケート図:あなたが今まで経験した外部パートナーと連携したプロジェクトにおいて、パートナー企業に対して課題に感じたことがあれば教えてください。

 プロジェクトが成功した要因についての設問では、「受注先企業の経験や実績」と答えた人が49.4%と多く見られた*4が、「担当者との関係の良さ」と回答した人も42.5%*5と、相性の良し悪しがプロジェクトの成功に関わる要因であることがうかがえる結果となっている。

アンケート図:直近であなたと外部パートナーが連携したプロジェクトは、どの程度目標に至りましたか。 アンケート図:Q1で「想定より達成できた」「想定通り達成できた」と回答した方にお聞きします。どのような要因で達成できたと感じていますか。

 「趣味や出身地といったパーソナルな部分の一致は、スムーズに関係性を深められる一例です。あとはお人柄や人との付き合い方も重要で、積極的に提案してもらえる方、強気でバリバリ仕事をする雰囲気の方、穏やかで相手に寄り添う雰囲気の方など、その方のコミュニケーションコストが少ないタイプについてもお聞きした上で、総合的にマッチする企業の担当者をご紹介しています」(立川さん)

 Ready Crewの利用企業のうち、60%は上場企業。従業員数1,000名以上の企業が全国に3,408社あるうち、2,525社が利用登録をしている。新事業や新施策を手掛ける際、既存の外注先では対応が難しいために新たな発注先を探したいといった利用例があるという。 業界には特に傾向はなく、満遍なく幅広い業界企業が利用しており、累計マッチング件数は56,000件を誇る。

 サービス開始当初はWebサイトやLPの制作などクリエイティブ分野の相談が多かったが、徐々に多様化。コロナ後はデジタルマーケティングや営業DXなど、IT周りの相談が増加している傾向にあるという。細分化する発注ニーズに応えるため、明確に自社の強みを打ち出せる受注側企業の登録数増加に注力。Web制作会社の場合、「UIUXのデザインに強い会社」「売上につながるECコンサルが得意な会社」「採用ブランディングに特化した会社」といった企業を紹介している。

社内

 過去のユニークな相談事例として、立川さんは会社の周年行事の内容に関するエピソードを披露してくれた。

 「上の方から『何かやってくれ』と漠然と指示されたものの、何をしていいのかわからないというご相談でした。保守的なものにしたいのか、尖ったことをしたいのかをお聞きしながら、何をするのか考えるところから一緒に取り組みました。会社ロゴを変えよう、ブランディングを見直そう、社員に喜んで持ち帰ってもらえる記念品を作ろうなど、結論はさまざま。私たちにお話いただく中で、お客様が良いアイディアを思いついたり、懸念点に気が付かれたりすることもあります」

 立川さんは「発注先を探す担当者は孤独なことが多い」と指摘する。ひとりで調べ、考えるだけでは出せるアイディアに限界があるものだ。社外の同僚、パートナー的なポジションを担うコンシェルジュと対話をすることは、頭の中の整理や新たな思いつきにもつながる。

 「同じ環境で過ごす社内の同僚が相手だと、想定内のアイディアに留まってしまう。また、受注先候補となる企業は発注につなげることがゴールになるため、サービスを売りつけられるかもしれない懸念がある中での相談になってしまう。商材を持たない第三者であることがReady Crewの強みなんです」(雨宮さん)

 「企業担当者の方と同じ方向を向き、プロジェクトを成功させる最善策を考える対等な立場であれるよう意識しています。『自分で探してみたけれど、いい企業を見つけられなかった。妥協して発注先を決めようとしていたけれど、Ready Crewでぴったりの発注先に出会えた』と喜んでいただけるのが嬉しいです。Ready Crewを使ったことのある他部署の人から喫煙所で聞いて問い合わせにつながったといったように、ご紹介経由での問い合わせが多いのも特徴ですね」(立川さん)

ビジネスマッチングサービスの認知向上を目指す

 ビジネスマッチングサービスの認知度はまだまだ低いのが現状だ。フロンティアでは、広告費に予算をかけ、ビジネスマッチングサービスという領域とReady Crewというサービス双方の認知を上げるべく注力。また、つながりのある企業とセミナーの共催を行うなど、新しい施策にも挑戦していくという。

 「AIが台頭してくる中、人が介在するアナログなサービス設計で大丈夫なのかと聞かれたことがあります。もちろん、必要な箇所にはデジタルの力を利用していますが、言語化が難しい部分を汲み取ったマッチングは人が介在するからこそ成し得るもの。これからもデジタルとアナログの強みを活かしながら、企業の発注先探しの効率化、プロジェクトの質向上に寄与してまいります」(雨宮さん)

 「具体的な発注先探しだけではなく、新しい事業やプロジェクトを考えるタイミングで、安心して話せる外部の相談相手としてお気軽にご連絡をいただければと思っています。新しい気付きを与えられる第三者として、一緒に歩んでいける存在であり続けたいです」

 言語化しきれないニーズを汲み取り、適切な企業の紹介を受けられるビジネスマッチングエージェントReady Crew。自社の業務効率化が叶うのはもちろん、新たなアイディアの創出にもつなげられる心強いサービスだ。

社員