PR特別企画 キヤノンマーケティングジャパン株式会社 報道カメラマンが選ぶ2022年ベストショット -次世代カメラ-EOS R3で広がる表現

一般社団法人共同通信社の報道カメラマン・斎藤美雪さん(左)と、キヤノンマーケティングジャパン株式会社の津幡圭佑さん

 たかだか1枚、されど1枚――報道カメラマンは、1枚の写真を生み出すため最善を尽くす。また、それに応えるようカメラの性能も進化している。報道写真が生まれる裏側について、一般社団法人共同通信社の報道カメラマン・斎藤美雪さんと、キヤノンマーケティングジャパン株式会社で商品企画を手がける津幡圭佑さんに話を聞いた。

構図、光、被写体、全てがうまく噛み合った瞬間

 斎藤さんには2022年に自身で撮影した報道写真の中からベストショットを選んでもらった。その1枚目がこちら。全国高校スキー大会での一場面だ。

全国高校スキー第2日 アルペン女子大回転 優勝した長野俊英・渡辺愛蓮=安比高原スキー場 撮影日:2022/2/8 写真提供:共同通信社

 斎藤さん「撮影時は粉雪が舞っていて、逆光も差し込み、背景がきれいでした。被写体にきちっとピントも合って、良かったと思います」

 構図、光、被写体――全てがうまく噛み合った瞬間。普段から使用するキヤノンのデジタル一眼レフカメラEOS-1D X Mark IIIで撮影した。

 津幡さん「EOS-1D Xシリーズはキヤノンのフラッグシップ機で、まさにこういう速い被写体を撮るために作られたカメラです。それでも、(左手前に)ポールがありますし、雪も降ってさらに逆光という相当難しいシチュエーションでピントを合わせた1枚じゃないでしょうか」

 斎藤さん「おっしゃる通りで、撮影当初はなかなかピントが合わずに苦戦しました。そこで、うまく撮れるまでにAIサーボAF(オートフォーカス)の設定を全て試しました」

 AIサーボAFは競技中のスポーツ選手や走る子供など、撮影距離が絶えず変化する被写体の撮影に適した撮影モードだ。設定を変えることで、動きが異なるさまざまな被写体に対応可能となる。

442年ぶりの夜空の共演 綿密な計画で撮影

 ベストショット2枚目は、EOS-1D X Mark IIIで撮影した「11月8日の皆既月食」。今回の皆既月食は、天王星が月に隠れる「天王星食」も同時にあり、約442年ぶりの皆既月食と惑星食の共演となった。この極めて珍しい天体ショーを収めるため、全国各地の共同通信社のカメラマンで分担して撮影にあたったという。

東京スカイツリーの上空に見られた皆既月食の連続合成写真(左下から上へ)=午後5時59分から9時49分まで10分間隔で撮影、東京都墨田区 撮影日:2022/11/8 写真提供:共同通信

 斎藤さん「私は“月食の全工程を押さえ、それがスカイツリーの上で起こっているよ”という撮影担当でした」

 津幡さん「完璧な画角ですよね」

 斎藤さん「ありがとうございます。24mm画角で撮って右の余白だけトリミングしています。万が一、全行程が画角に入らなかったときのために16mmも保険でセッティングしていました。三角関数を使って、月が見えやすい位置を事前に計算したんですよ」

 津幡さん「三角関数って、すごいですね」

 斎藤さん「スカイツリーの高さが634mで、日にちと方角を照らし合わせると、隅田公園からよく見えるだろうと。いざ撮影したら、全行程がちゃんと画角内に収まったので良かったです」

 インターバル撮影(一定の間隔で繰り返し撮影を行う方法)を用いて、1分に1回シャッターを切り、4時間ほど撮り続けたという。撮影後は10分毎の月食24枚を合成し、1枚の写真として仕上げた。

フルサイズミラーレスカメラEOS R3 RF24-70mm F2.8 L IS USM装着時

 斎藤さん「天体撮影では、なによりもバッテリーの持ちが重要です。撮影途中でバッテリーが切れると、カメラが停止し、インターバルがおかしくなりますから。長時間の撮影にも関わらず、一度もバッテリー交換しなくて良かったのは大きかったです」

 津幡さん「EOS-1D X Mark IIIに搭載されているLP-E19は大容量のリチウムイオン電池です。EOS R3とも共有が可能で、ミラーレスカメラの課題の1つであるバッテリー問題の対策もされています。さらにミラーレスカメラのEOS R3なら電子ビューファインダーで適正露出を確認しながら撮影できます。月が地球の影に隠れるとグンと暗くなり、露出が変わってしまいますからね」

EOS R3で広がった、絵柄のバリエーション

 ベストショット3枚目に選んだのは「マスターズ・トーナメント大会初日の松山英樹選手」。576万ドットの高精細OLED電子ビューファインダーを採用したEOS R3で撮影された。

マスターズゴルフ第1ラウンド、14番でティーショットを放つ松山英樹。イーブンパー=オーガスタ・ナショナルGC 撮影日:2022/4/7 写真提供:共同通信/ゲッティイメージズ

 斎藤さん「先ほどの続きになりますが、撮る前に電子ビューファインダーで露出を確認できることは、すごく助かります。ゴルフの場合、直射日光が当たっているフェアウェイと草木が生い茂っている日陰では露出差が大きいので」

 津幡さん「そうですね、撮影後のイメージを確認しながら撮れますし、さらにこの作品を拝見すると陰影の部分ってカメラ側が認識し、自動的にちょっと明るくしていると思うんですね。このキャップで影になっている松山選手の顔の部分とか」

 斎藤さん「そうですよね」

 津幡さん「はい、DLO(デジタルレンズオプティマイザ)という設定を“強め”にすれば、レンズの収差を自動的に補正してくれますし、オートライティングオプティマイザを使えば暗い部分の露出を上げてくれるんです」

 斎藤さん「実はマスターズで初めてEOS R3を使ったのですが、いきなり使ってもEOS-1D X Mark IIIとボタンの配置やメニューの表示が一緒で、バッテリーも同じなので、使いやすかったです」

 津幡さん「まさにおっしゃる通り。EOS R3は基本EOS-1D Xシリーズの操作性を踏襲しています。2021年の国際的なスポーツイベントでデビュー戦を飾ったカメラでして、EOS-1D X ユーザーが違和感なく使えるように操作系はほとんど変えてないです。変わったことといえば、カメラ本体の重量が軽くなったことです」

EOS-1D X Mark III(左)とEOS R3。EOS R3はEOS-1D X Mark IIIとボタン・ダイヤル操作がほぼ同一で、バッテリーも共有可能。

 斎藤さん「良いですね、軽量化はすごく嬉しいです。松山選手のプレーが終わったら、タイガーウッズ選手を撮りに行って――と、マスターズでは1日35,000歩ぐらい歩くという体力勝負でした。機材が少しでも軽い方が、体の負担も軽減するので」

 マグネシウム合金性外装を施したEOS R3本体は約822g 。高い剛性と放熱性を兼ね備えた上でEOS-1D X Mark IIIより約400g軽くなっている。

 津幡さん「この写真の松山選手との距離、けっこう近いですよね」

 斎藤さん「はい、かなり近くまで寄りました。(松山選手は前年度の覇者のため)、撮影のスタンバイをしていると“MATSUYAMAだ”“チャンピオン!”という観客の声援がよく聞こえてきました」

 そんな観客の注目を集める中、松山選手がクラブを振りかぶると、斎藤さんはシャッターを切った。

 従来のゴルフ取材では、シャッター音が選手の邪魔にならないようスイングのインパクト後から撮影していた。ミラーレスカメラのEOS R3の場合、サイレントシャッターモードにすれば選手が振りかぶった時でも無音で撮れ、絵柄のバリエーションが広がった。

 斎藤さん「今まで撮ってはいけなかったタイミングの写真です。表情がよく見えるし、スイングの勢いもあって、この絵柄、私は好きです。何よりも無音なので、ストレスフリーで撮れます」

カメラ本体だけでなくレンズも大きく進化

 津幡さん「ちょっと話は変わりますが、どういうレンズで撮影されましたか?」

 斎藤さん「24-70mm、70-200mm、200-400mmの3本でした。マスターズは他の試合と違って、報道陣といえどもコースのロープ内に入ることができないんですね。なので、選手との距離が近くても遠くても対応できるようなレンズ選びをしました」

 津幡さん「なるほど、RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMというレンズをぜひ試していただきたいなと思いまして」

 斎藤さん「それは、なぜですか?」

RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM 至近から遠景、画面の隅々までズーム全域での高画質を実現している。

 津幡さん「使い勝手がいいんですよ。キヤノンのフルサイズミラーレスはクロップ機能もあるので。レンズ500mm(フルサイズ撮影)を静止画クロップで撮影画面中央の約1.6倍にすれば、800mm相当(APS-Cサイズ相当)で撮れますから。写りもキレイだし、重量約1370gと軽いんです。先ほどレンズ3本を携帯とおっしゃっていましたが、これからは24-100mm、100-500mmのレンズ2本だけで十分カバーできてしまうという」

 斎藤さん「あー、それは良いですね」

 EOS-1D X Mark III からEOS R3へ。カメラボディだけではなく、レンズとの組み合わせも進化している。

スピード勝負の報道現場 初球を投げたらすぐ送信

 2022年、斎藤さんはEOS R3で米大リーグの取材撮影にあたった。

 斎藤さん「まず、日米の野球の撮り方では違いがあります。プロ野球だと試合の展開を中心に撮影しますが、米大リーグだと日本人選手を撮影し続けます。1人の選手をずっと撮影する場合、球場の雰囲気、微妙な表情の違いなど絵柄に変化が出るよう、なるべく多くのバリエーションを撮影するように心がけています」

 津幡さん「EOS R3 だと、従来の構図の常識を破るといいますか。AF(オートフォーカス)操作をサポートするスマートコントローラーを利用すれば素早く測距点を端まで移動させることができます。例えば、球場の全体が映るようにして、左下の方に選手がいるみたいな引きの絵も簡単に撮れます」

EOS R3のスマートコントローラーを指す斎藤さん。このボタンの上で指をスライドさせるとタッチパッドのような操作感で、ピントを合わせる枠を動かせる。

 斎藤さん「これ、すごく使ってます。大リーグではそういう絵柄をよく撮るんですよ。あとは撮ったらなるべく早く送信することが最も重要です。共同通信社は加盟する新聞社さんへ写真を提供することがメインの業務です。朝刊帯や夕刊帯の締切までに写真を送信することが大前提として、今はネットニュースがすぐに出るので、時間帯に関係なく、すぐに送信するようにしています。たとえば、日本人投手が先発する場合、試合が始まって初球を投げたら、2球目を投げる前に写真を送信します」

 津幡さん「ええ! スピード勝負ですね」

 斎藤さん「はい、少しでも早く送るため、カメラからダイレクト送信しています。EOS R3にLANケーブルを繋ぎ、日本で写真を待っている担当デスクの端末へ送っています」

 津幡さん「カメラマン席にLANケーブルがあるんですか?」

 斎藤さん「あるんですよ。ない場合は球場内のLANケーブルを伸ばしたりして。ちなみに7mのLANケーブルを持っていったんですけど、球場によっては全然足りなかったので、現地で15mのものを買いました。日本人選手が先発する場合は、撮って送ってという作業を繰り返しています」

 津幡さん「忙しそうですね」

 斎藤さん「そうですね、日本人選手が降板したら、ちょっと一息つけます。でも、選手がベンチにいる間も表情などを撮り逃さないよう気をつけています」

 津幡さん「照明がきちっと当たっているグラウンドよりベンチの方が暗い可能性がありますよね。EOS R3はRF24-70mm F2.8 L IS USM など”IS”がついているRFレンズと組み合わせると最大8.0段手ブレを防止できるんです。油断しがちなシャッタースピード1/60秒や1/125秒の微ブレをけっこう防げると思います」

 斎藤さん「へえ、1/125秒で微ブレがなくなるのは大きいですね。ブレた写真は使えないですから」

 津幡さん「弊社としては、カメラマンの皆さんがストレスなく思い通りの写真が撮れるようにサポートすることが必須です」

 EOS R3はそんなプロ向けのフラッグシップ的な形になるが、正当な『ワン』シリーズとは一線画したコンセプトで開発された。見つめた先にAF(オートフォーカス)フレームを移動させる視線入力など、革新的な面白い機能も搭載されている。

 斎藤さん「いろいろな機能がありますし、スポーツだけではなく、報道の現場でもすごく使いやすいカメラだと思います。より早く、より正確に報道写真を世に出すため、もっとEOS R3に慣れたいなと改めて思いました」

 報道カメラマンの向上心とEOSの進化という相乗効果で、今日も新たな写真が生み出されていく。

 (執筆・撮影:南しずか)

  • キヤノン:your EOS.|EOS R3 特長紹介
  • ▼本企画では紹介しきれなかった2022年ベストショットを、こちらのサイトで公開しています。

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