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被災地置き去り不安 安倍総裁「復興」発言少なく

 自民党が政権運営に向け始動した17日、安倍晋三総裁の記者会見で復興に向けた発言が少ないことに県民からは「被災地が既に置き去りになっているのでは」と不満が広がった。避難者らは一日も早く帰還できる環境づくりや復興住宅整備など、具体的な政策の実現に与野党一体で取り組むよう求めた。農業政策や公共事業拡大に期待する声もあり、県民は政党を超えた復興策の実行を求めた。
 生活環境の整備は避難者に共通した願いだ。「景気を良くするという声ばかり。被災地の話はどこにいったのか」。安倍総裁の口から具体的な復興策が示されるのを期待して、福島市の仮設住宅のテレビで記者会見を見守った浪江町の白坂治義さん(65)は不安な表情を見せた。
 妻のやい子さん(61)と仮設住宅に住み始め1年4カ月。部屋の狭さが苦痛だ。「早く復興住宅を整備してほしい」と訴え「自民の候補者は復興に全力で取り組むと言ってくれた。今は信じるしかない」とつぶやいた。
 郡山市の仮設住宅に避難する富岡町の無職猪狩重信さん(87)は、「政権がころころ変わる。放射能は生易しいものではなく、自民党でも状況は好転しないのでは」と懸念する。秋に5回目の一時帰宅をし、戻れないと確信した。室内は動物に荒らされ、放射線量も変わらなかった。自宅に残してきた親族の位牌(いはい)を今回、仮設住宅に持ち帰った。
 この日の自民党圧勝を伝える新聞。安倍総裁が政権を投げ出したときの姿が思い浮かんだ。「原発推進を反省し、子どもや孫の世代のため、復興の足固めをしてほしい」と注文した。
 会津若松市の仮設住宅に暮らす大熊町の無職志賀仙子さん(78)も政権が自民党に変わっても現状が変わるか不安視する一人だ。
 震災発生以降、厳しい生活は改善されず、政治に不信感を抱いた。ただ、期待を捨ててはいない。「政権与党になる自民党にしかできないことがある」と強調。「賠償、早急な除染など被災者が抱える悩み、要望はそれぞれ違う。野党とも協力してスピード感を持って取り組んでほしい」と話した。
 子どもを抱える母親も実行力に期待する。福島市で4歳の長男、2歳の長女を持つ30代の主婦は「自民党には3年前と違うということを政策で示してほしい」と期待する。民主政権は放射性物質の影響についてはっきりと説明せず、子どもをいまだに屋外で遊ばせていない。期待していた子ども手当も尻すぼみだった。「福島県の子どもが安心して暮らせるような政策を今度こそ実現してほしい」と訴えた。

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