論説・あぶくま抄

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あぶくま抄(12月25日)

 今朝、枕元のプレゼントに喜ぶ子どもの姿を、ほほ笑ましく眺めたサンタクロースがたくさんいたに違いない。うれしさを隠しきれないわが子の笑顔は、親にとって最高の贈り物だ。家族一緒に過ごせる幸せの意味を県民はよく知っている。
 単身赴任者でつくる親睦グループ「さゆり会」が喜多方市にある。蔵のまちにやって来たサラリーマンや銀行マン、公務員…。15人ほどが隔月に集い、杯をあげる。転勤族とあって、会員の顔ぶれは毎年のように入れ替わる。会の由来は誰も知らない。
 「あそこの店の料理はうまい」「掃除用品でいいものがある」「体調管理をどう進めるか」。単身生活に役立つ情報が飛び交う。家庭の話題も出る。「家内の料理がうまく感じるようになった」「ウチでは私の椅子に息子が座っている」。笑い声が響く。酒が進むにつれ、本音がのぞく。「離れてみて、あらためて家族のありがたさが分かった」。
 原発事故による避難生活で、家族と離れて暮らす人々がいる。避難先で、単身赴任先で、それぞれの思いを胸に「今日」を迎える。姿は見えなくても、サンタクロースは、きっとどこかで笑っている。「メリークリスマス」。

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