無制限に金融緩和・原発再稼働…安倍氏が基本政策
自民党の安倍総裁は15日の読売国際経済懇話会(YIES)で、経済・金融から外交・安全保障分野まで体系的に基本政策を打ち出した。
衆院選をにらみ、自民党の政権担当能力をアピールする意味合いもあるが、選挙後には同党を中心とする新政権が誕生する可能性が高いと指摘されているだけに、安倍氏の政策構想は日本の将来を左右するものになりそうだ。
◆経済・金融政策◆
安倍氏は、デフレからの早期脱却に全力を挙げる姿勢を示した。その具体策として掲げたのが、政府と日本銀行が消費者物価の前年比上昇率の目標を共有し、達成できなかった場合に日銀が説明責任などを負うインフレ目標政策の導入だ。
「政府と日銀が同じインフレ目標を持ち、目標達成のために無制限に緩和していくことで初めて市場が反応していく」と述べ、インフレ目標の達成のため、日銀が国債などを無制限で買い入れていくことを求めた。
さらに安倍氏は、民間金融機関が日銀に持っている当座預金の金利をゼロ、またはマイナスにすることで、金融機関が企業や家計への貸し出しを増やすようにする対策も主張した。「かつて自民党でやってきた政策と次元の違う政策をやるべきだ」と強調した。
安倍氏はこれまで、日銀総裁の解任権導入などを含む日銀法改正に取り組むことも示唆してきた。日銀への圧力をちらつかせながら、積極的な金融緩和に誘導していく構えだ。
◆TPP◆
環太平洋経済連携協定(TPP)では、交渉参加に前向きな姿勢を示し、衆院選後に政権交代が行われても、TPP参加に向けた協議が進む可能性が高まった。安倍氏は国民の理解を得るため、「例外品目」を多く勝ち取ることに着目しているようだ。米国は、日本に対して全品目を協議のテーブルにのせるよう求める一方、加盟国間の本交渉では、コメなど日本の重要品目は関税撤廃の例外扱いにできる可能性があることを示唆している。米国も砂糖などの例外扱いを求めているとされ、安倍氏は「米国は例外を作っている」と指摘した。
◆原発再稼働◆
原発の再稼働をめぐっては、自民党内にも「原発ゼロ」を求める声があり、党の方針は定まっていない。それでも、安倍氏は「政府が責任を持って再稼働する」と語り、再稼働を進める方向性を打ち出した。党は政権公約への明記を検討している。
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