豊田JIMGA会長、東電値上げを懸念/負担増は60億円

12/02/06

 日本産業・医療ガス協会(JIMGA)の豊田昌洋会長は会見し、東京電力が4月から実施する電気料金値上げについて産業ガス市場のコスト負担が年間約60億円にのぼり、多大な影響を与えることを明らかにした。また、原子力発電所事故に端を発した電力問題について政府の対応を強く非難。産業ガスメーカーも今回の事態に対応する有効手段が見出せないとし、市場存亡に関わる重大な事態に陥るとの認識を示した。
 産業ガス製造のため消費する年間電力はおよそ90億kWで、電力10社からの調達分は63億kW。このうち約3分の1を東電管内で消費するため、東電が打ち出した契約自由化部門への1kW当たり2円51銭の値上げで、メーカーの負担額は60億円程度になると試算される。また、東電の電力料金値上げが全国に波及した場合、コスト増は170億円規模まで拡大すると見込まれる。
 原子力発電が停止し火力中心の発電になったため、基本認識は「料金値上げは受け入れざるを得ない」(豊田会長)としているものの、ほかの産業に比べ影響が多大であることから経済産業省や東電に何らかの緩和措置を要望。また、厚生労働省に対しても薬価改定の際に事情を考慮するよう求めていく考えだ。
 電力料金値上げについては「一過性の問題ではない」との認識で、年間170億円規模の負担が発生した場合、「経常利益でも数百億円規模の産業ガスにとっては重大。いずれ行き詰まってしまう」と危機感を募らせる。過去の電力料金値上げ時に採ってきた価格転嫁も「実施できる状態にない」。現在、電力料金値上げに加え超円高による空洞化などからユーザーの廃業・海外移転が憂慮されており、供給先の存立自体が懸念されている状況下では「価格改定は二の次」となっている格好だ。
 産業ガスメーカー側は「さらなる経営効率化、あるいは価格改定などを各社個別の判断で行っていくしかない」などと説明。こうした施策の効果が限定的で電力値上げが全国に波及した場合、「産業ガス以外の分野で活路を見出さざるを得ない」と指摘した。

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